NIKKEI

トップ>企業マネジメント最新トレンド>自社の企業価値を知る、高める

自社の企業価値を知る、高める

株式会社 オーナーズブレイン 小泉大輔

第3回企業価値を向上させるための視点と施策

1.貸借対照表とインカム・アプローチの企業価値の関係

前回は、実際に、インカム・アプローチによる企業価値を計算してみました。今回は、企業価値向上させるためにはどうしたらよいか考えたいと思います。

インカム・アプローチにおける企業価値は、事業から生み出されるフリー・キャッシュ・フロー(FCF)の総和をWACC(加重平均資本コスト)で割り引いたものです。
貸借対照表との関係では、図1のように表され、有形の資産だけでなく、ブランド、人材、技術力、顧客資産などの無形の資産までも加えたものとみることができます。

図1:貸借対照表と企業価値の関係

2.企業価値を向上させるための視点と施策

インカム・アプローチは、将来いかにFCFを生み出すかという観点での企業価値の算定方法です。

よって、企業価値を向上させるためには、
【1】自社の魅力を高め、継続的にFCFを生み出すこと
【2】自社の魅力を理解させる仕組み
が必要です。

図2:企業価値を高めるための施策

【1】の施策としては、FCFの構成要素ごとに検討して、それぞれ大きくすることです。
FCFは以下のように分解できます。

営業利益   ××××
営業利益に対する税額 ××
減価償却費 ×××
設備投資等 ×××
運転資本の増加 ± ×××
営業資産から獲得されるキャッシュ・フロー   ×××

FCFを高めるため、それぞれの各項目より、次のような施策が導かれます。

(1)利益を上げる・・・売上を増加、費用を削減、そして、節税を行うことです。そのためには、短期的ではなく、中長期な成長のために、研究開発投資を行うとともに、日々の業務プロセスの改善を行うことも大切です。

(2)運転資本を改善・・・売掛金の回収を早め、在庫の回転率を高めることで、運転資本を改善することで、FCFを高めることができます。

(3)有効な設備投資・・・より収益性が高い固定資産に投資を行うとともに、現状の資本コスト(WACC)以下の収益をもたらさない資産については、さらなる有効活用・売却を検討します。

【2】の施策としては、資本コストを下げることです。資本コストを下げることによって、割り引かれる数字は大きくなります。資本コスト自体を下げる方法は、IRやディスクローズを積極的に行い、ファンとして株主を増やすとともに、コーポレートブランドを確立することです。IRが積極的ですと、株価の変動をできるだけ少なくすることができるのです。これは、変動性を小さくすることにつながります。
特に、インカム・アプローチで、企業価値を計算する際、大部分を占めるものは、永続価値です。このため、将来の会社がどのように成長していくのか、そして、その際の資本コストをいかに低めていくか検討することが企業価値を高めるために重要です。

プロフィール

株式会社オーナーズブレイン 代表取締役・公認会計士・税理士 小泉 大輔
[所属・役職]
株式会社オーナーズブレイン 代表取締役・公認会計士・税理士
[略歴]
朝日監査法人(現あずさ監査法人)、新日本監査法人を経て現職。
株式公開支援、M&A、企業価値算定をはじめ、会計・財務のコンサルティングを主たる業とするほか、数多くのセミナー・講演活動を行っている。
[著書・訳書など]
『コーポレート・ガバナンス報告書 分析と実務』2007年4月(共著、中央経済社)
『要点解説 金融商品取引法』2007年10月(共著、中央経済社)
「財務スキル教室」(「クオリティー・マネジメント」‐日科技連)
「金融商品取引法に向けた企業の対応」(「クオリティー・マネジメント」‐日科技連)等
[URL]
http://ownersbrain.com/

[バックナンバー]自社の企業価値を知る、高める

企業マネジメント最新トレンド 一覧へ

日経産業新聞 ビジネス動画 動画で見る、話題の新製品・先端技術 詳しくはこちら

日本大学 通信教育部

月間アクセスランキング

  1. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の具体的な改正内容とその対応のスケジュール
  2. 企業マネジメント最新トレンド
    グローバルに対応しうる事業戦略とは
  3. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正において、企業が取組むべきこと
  4. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正における具体的な取組み方法
  5. 企業マネジメント最新トレンド
    企業価値とは何か。経営にどう影響するのか

日経産業新聞ピックアップ

2017年6月27日付
  • 金融取引の説明不足を判定、フロンテオ AIを活用、通話記録を分析
  • クラリオン、ロシアでつながる車開拓 通信ユニット、現地で生産
  • コマツ 土砂運搬てきぱき ダンプ運転手のスマホに指示
  • 三菱製紙、カーボンナノチューブ収益減に育成 子会社でヒーター2種開発
  • アマダHD、仏拠点の生産能力3倍 レーザー加工機

経営喝!力 ビジネスIT活用index