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社労士が教える就労管理のチェックポイント

宮武社会保険労務士事務所 所長 特定社会保険労務士 宮武 善樹

第4回ITを使った就労管理

前回まで労働時間とはどの様なもので、労働時間の上限や労働時間と労働災害(脳・心臓疾患)、割増賃金についてお話をしましたが、今回はその管理についてITを使用する事例紹介やどの様なメリットがあるかについてお話をします。

現在私がご相談を受ける案件の中で最終的な課題として労働時間に起因しているものがとても多いです。
残業代であったり労働基準監督署等の是正指導であったり様々ですが、多くの企業で労働時間の短縮をしたい。その為に良い手はないだろうか?
というご相談です。
結論から言うと全ての企業にあてはまる特効薬の様な物は無いと言えます。
ただ、今までと同じ成果を短い時間で行うには次の方法が考えられます。

  • 1、労働生産性を高め、今までより短時間で今までと同じ成果をだす。
  • 2、無駄な労働時間(手待ち時間や付き合い残業など)をなくす。
  • 「1」労働生産性を上げる事についてはその業務内容を詳細に分析して対応する事になります。詳細は今回のお話しの主旨から外れるのでまたの機会にします。
  • 「2」「無駄な時間をなくす」為にはまずは労働者がどの様な時間の使い方をしているのかを把握する必要があります。
    予定表や日報を付けると言う方法もありますが、日々の業務量が膨大になりますので、まずは残業を行う場合に限りひとつハードルを設けると言う方法をご提案します。
    本来時間外労働は上司(使用者)の命令により行うものですが、現在多くの企業では労働者が残業を行う必要性を判断して自発的に行っていると思います。
    これを残業を行う場合には事前に上司に申請をして、許可もしくは承認をもらう様に社内ルールを変えると言う方法があります。
    これを行う事で仕事も無いのに誰かの付き合いで残業をする労働者や、飲み会や夜の予定があるのでそれまで時間調整の為に社内にいる様な労働者の労働時間を削減する事が出来ます。
    また、労働者は優先順位が高いと思い、残業をしてでも今日中に仕上げなければならないと思っている仕事が、実は明日でも良い場合などがあり、上司の指導のもと労働時間を短縮する事が出来ます。 残業の事前申請を紙で行う事も可能ですが、現在ではグループウェアにより残業申請を行い、承認・許可もグループウェアを通じで行っている企業が多くあります。
    グループウェアを使用する事で外出先からも確認する事が出来れば上司が外出中でも承認がもらえるなどのメリットもあります。また、人事部は随時申請・承認の過程を確認する事が出来ます。

次に労働基準監督署等の是正指導についての対応ですが、多くの企業で36協定にて協定している限度時間を超えて労働している事について是正指導を受けています。
これは、上司が36協定の存在自体を知らないというケースも多々ありますが、自らプレーヤーとしての業務が大量にあり、積極的に部下の労働時間管理まで行えていないと言うケースもあります。
このような場合にはITを使用する事で課題を解決出来る可能性があります。
就業管理ソフトには、一定の残業時間をした際に上司、もしくは人事部等へ通知を出すという機能が付いているものがあります。このソフトを導入する事で、例えば事前に設定した残業時間の30時間もしくは40時間で通知が上司にくれば、30時間の通知を受けた際に、その労働者に対してもうそろそろ1ヶ月の上限時間の45時間に近づくであるとか、40時間の通知が来たら、もうそろそろ残業を控えるように労働者と業務内容について調整をしようであるとか、今月については特別条項を使用する為に手続きを行おうなど、様々な対応が可能となります。
ITを使用する際の魅力は事前に設定さえしっかりとしておけば、あとは上司が部下の労働時間に気が回らなくても、設定時間になれば必ず通知がされて部下の労働時間が上限に近付いている事に気づかせてくれると言う事です。 是非、このような機能を使用して適正な労働時間の管理や人件費の管理をするようにしましょう。

今回で「社労士が教える就労管理のチェックポイント」についてのお話しは以上になります。長期雇用制度が崩壊しコンプライアンス経営が求められている今日では労働基準法等を知らなかったでは済まされない経営リスクが多々存在します。
トラブルになってからではなく、トラブルにならない就労管理制度作りを事前に行い、労使ともに働きやすい就労環境を作るようにしましょう。

プロフィール

宮武社会保険労務士事務所 所長 特定社会保険労務士 宮武 善樹
[所属・役職]
宮武社会保険労務士事務所 所長 特定社会保険労務士
[略歴]
上場企業にて「企業」「組織」について実体験を通して習得し、退職後に社会保険労務士の資格を取得。大手社会保険労務士事務所にて人事労務分野における制度構築や運用、経営労務監査について研究を重ねる。 現在は企業規模を問わず就業規則等の規程類の作成や企業の健康診断とも言える「人事労務診断」の作成、人事制度構築コンサルティング、人事考課制度構築コンサルティング等を行っている。
さらにIPOを視野に入れている企業に対し、上場審査の視点から人事労務に関する各種制度の構築、規程類の作成、運用などの人事労務についてのトータルサポートを行っている。
[著書・訳書など]
『労働条件審査の実務マニュアル』2010年8月(共著、全国社会保険労務士連合会)
『労働条件審査の実務マニュアルII』2011年8月(共著、全国社会保険労務士連合会)
「雇用形態別人事管理アドバイス」(共著、新日本法規)
[講師]
労務コンプライアンス監査の実践 明治大学リバティーアカデミー(2010年)
実践会社経営と人事労務 明治大学リバティーアカデミー(2011年)
[URL]
http://www.miyatake-office.com/

[バックナンバー]社労士が教える就労管理のチェックポイント

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