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社長がわからない、IT部門スタッフの採用のポイント
~クラウドが採用に及ぼす影響~

公認会計士神崎時男事務所 代表 神崎時男

第4回クラウドのIT系人材採用への影響

クラウドがIT系人材の採用に与える影響については、まず、クラウド自体を理解する必要があります。クラウドの定義はなかなかあいまいで、一般的なものがないような状況ですが、本稿では構成要素に基づく3つの分類から、つぎのような前提とします
(参照ホームページ:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20110216/357282/)。

IaaS(Infrastructure as a Service)

IaaSは、ネットワーク/ハードウエア(CPU・メモリー・ハードディスク)/OSをクラウドで提供するサービスです。ユーザは何もインストールされていないサーバ環境を提供され、その上にユーザーが必要とするミドルウエアや、アプリケーションソフトウエアをインストールすることになります。

PaaS (Platform as a Service)

PaaSは、IaaSの構成要素に「ミドルウエア」を加えたものです。IaaSの構成要素に加え、データベースソフトやWebサーバーソフトといったWebアプリケーションを稼働させるためのソフトウエアや、アプリケーション開発に必要となるソフトウエアが提供されます。ユーザは、必要なアプリケーションのソースコードをPaaS環境にアップロードし、必要なデータベース定義を設定することで、アプリケーションを動作させることが可能となります。
なお、PaaSではサービスによって、アプリケーションで利用できる開発言語が限定される点や、PaaSにおいて提供されていないミドルウエアについてはユーザ自身が準備しなければならない(場合によっては利用できない)点に留意が必要です。

SaaS (Software as a Service)

SaaSでは、ユーザはネットワーク・ハードウエア・OS・ミドルウエアのすべての要素について、自身で準備をする必要がありません。ユーザはWebブラウザを利用して、SaaS提供事業者のWebアプリケーションにアクセスし、サービスを利用することになります。
SaaSのアプリケーションの機能が不十分である場合は、ユーザ自身が機能を追加開発することも可能です。

IaaS、PaaSを採用した場合、以前は自社で保有していたハードウェア、ミドルウェア等がなくなります。よって、社内の情報システム部員は、ハードウェアやミドルウェアの運用業務を行う必要がなくなり、したがって、そういった分野のスキルを持つ人材を採用する必要性も低下します。

SaaSを採用した場合には、システムの開発部門の業務すら必要性が低下する可能性があります。ただし、自社の業務を理解した上で、有効な情報システム利用をするために、全くこの分野における人材を採用しないわけにはいきません。とくに複雑な機能追加については、SaaSベンダーが提供する専用アプリケーション(および専用開発言語)で開発するケースも見られます。この場合、専用アプリケーション(および専用開発言語)に習熟する必要があり、そのような人材を確保する必要があるかもしれません。

いずれにしも、クラウド化により「IT系」人材についても「持たない経営」が推進されますが、特に基幹系業務システムについては、業務内容に精通した人材が必要となると言えるでしょう。と言うのも、近年SEに対するクレームとして、システムの内容には詳しいが業務の内容がわかっていないと言われることが多くありました。その結果、業務プロセスリエンジニアリングに貢献できる度合いが低かったようです。これは、これまでは「IT系」の業務分野が広く、また、時代とともにスキルも変遷しており、業務内容に精通するところまで手が回らないといった実情も背景にありました。今後は、運用業務が不要となったためにできた余力を自社の業務内容に精通する方向に向けることや、また業務内容にも精通した外部のSEやシステム導入コンサルタントを採用する方向性がますます重要になっていくでしょう。

プロフィール

audITor 公認会計士神崎時男事務所 代表 神崎時男
[所属・役職]
公認会計士神崎時男事務所 代表
[略歴]
監査法人系コンサルティングファームにおいて、システム導入支援コンサルティング業務を中心に、IT関連のコンサルティング業務に従事。その後、大手監査法人のIT監査部門において、IT監査のほか、内部統制報告制度(J-SOX)対応コンサルティング業務に従事。独立開業後も、IT監査のほか、IT関連のコンサルティング業務を数多く手がける。累計IT監査クライアントは70社程度に及ぶ。
[資格など]
・公認会計士
・公認情報システム監査人
・日本IT会計士連盟 理事
・日本公認会計士協会東京会コンピュータ委員会委員 副委員長
・日本公認会計協会IT全体委員会 委員
[URL]
http://www.auditor.jp/

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