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経営者が知っておきたい知的財産の知識

廣瀬国際特許事務所 代表弁理士 廣瀬 隆行

第1回中堅・中小企業における弁理士の活用法

1.はじめに

企業経営者は、特許、ノウハウ、商標、著作権に関する問題を経験することがあると思われます。高額な損害賠償が認められるなど、企業活動上知的財産権を無視できなくなっています。"知的財産"の問題に対して、適切なアドバイスを与えられるのが、“弁理士”です。

2.知的財産権

まず、知的財産権について簡単に説明します。

  • (1)特許法
    特許権を取得すると、最大で最初の出願から21年間、特許された発明を独占できます。ただし、特許権を取得しても、他人の特許権が存在する場合などは、特許された発明を実施できないこともあります。
  • (2)実用新案法
    実用新案権を取得すると、物の発明(考案)について出願から10年間独占できます。特許庁に実用新案登録出願を提出してから3年以内であれば特許出願に変更することもできます。
  • (3)意匠法
    意匠権を取得すると、あるデザインを登録から20年独占できます。デザインを一定期間秘密にすることも請求できます。
  • (4)商標法
    商標法は、ロゴマークや社名や商品・サービス名を守る法律です。同じ名前の登録商標が既に存在していても、商品やサービスが異なれば、商標権を取得できます。商標権は、先に出願した者に与えられます。例えば、ある企業が使用中の商標を、競合他社が出願して商標権を取得してしまうこともあります。
  • (5)不正競争防止法
    不正競争防止法は、営業秘密(ノウハウ)に関する不正競争行為などについて規定する法律です。

3.知的財産部の機能

弁理士というと特許庁との手続の代理のみを依頼される中堅・中小企業も多いと思われます。しかし、事業活動や競合他社の状況を適切に把握しなければ、有益な特許や商標の出願はできません。ですから、単にある発明や商標の出願を弁理士に依頼しても、必ずしも有効な権利を取得できません。

多くの大手企業には、知的財産部が存在します。知的財産部は、特許出願や商標管理を行うほか、事業活動上取得することが望ましい特許権を取得するために発明者に発明を促し、問題となる他社の特許を調査し、商標を管理し、知的財産に関する契約を担当します。このような事業活動上の参謀ともいえる知的財産部の機能を果たすのが、"弁理士"なのです。筆者も、知的財産部が存在する上場企業を含め複数社の顧問として、顧問先の知的財産部の役割を果たしています。

4.知的財産教育

大企業の多くは、新入社員研修のほか、従業員に対して定期的に知的財産に関する研修を行います。弁理士をうまく活用して、従業員の知財教育を行うことも有益です。

プロフィール

廣瀬国際特許事務所 代表弁理士 廣瀬 隆行
[所属・役職]
廣瀬国際特許事務所 代表弁理士 廣瀬 隆行
知的財産関係専門委員
[略歴]
東京大学大学院広域科学専攻 修士課程修了。大手企業の知的財産部勤務,阿部・井窪・片山法律事務所を経て現職。
多数の知的財産事件に関与する他,複数のベンチャー,上場企業の顧問に就任し,有益な知的財産戦略の立案や知的財産管理,技術移転を行っている。特許出願は,情報通信,光学,医薬・バイオ,医療機器,化学・食品,機械,画像処理など幅広い分野について行っている。また,多くの特許無効審判,審決取消訴訟,侵害訴訟,訴訟前交渉を行うほか,特許無効や特許権侵害の有無に関する鑑定書を作成している。出願実績国は50カ国を超えるなど世界中の代理人とも良好な提携関係を築き,クライアントにリーズナブルで的確な外国特許サービスを提供している。大企業や中小企業に対し,知的財産教育に関する講演を頻繁に行っている。
[著書]
企業人・大学人のための知的財産権入門-特許法を中心に-東京化学同人
不正競争防止法 東京リーガルマインド出版
著作権法 東京リーガルマインド出版(共著)
最新中小企業経営者必携ハンドブック 日本商工経済研究所(共著)
裁判所法等の一部を改正する法律の解説-発明協会(共著)
実務 審決取消訴訟入門 民事法研究会(共著)
実務家のための知財判例 70選 発明協会(共著)
[URL]
廣瀬国際特許事務所

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