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強みを活かして成長する企業~事例から学ぶ差別化のヒント

株式会社 オーナーズブレイン 小泉大輔 山本信幸

第1回事例を活かすためのものの見方

はじめに

「デフレ」「少子高齢化の加速」「価格競争の激化」、厳しい言葉が日本に渦巻いてます。戦後から現在までの日本の経済成長を振り返ると、1956年~73年までの約9%、73年~90年までの約4%、91年以降の1%~2%という大きく3つの期間に分けられることに気付きます。上りのエスカレーターから一転、下りのエスカレーターの時代が20年も続いています。経営者の方々からは、一生懸命に経営しても、下りのエスカレーターを駆け上がっているかのように現状維持がやっと、ちょっとでも気を抜くと、どんどん下がっていってしまうという声をよく耳にします。

その中で、今注目されている戦略の一つがアジア進出。もちろん、海外のマーケットに成長機会を求めることも選択肢としてありますが、国内のマーケットでも活躍している会社があるのだって事実。そのような会社から気付かされるのは、お客様の記憶に残るような明確な差別化を図るということ。本稿では、お客様の期待を上回る価値を提供する、オンリーワンを目指す企業を分析することで、不況期に生き抜くためのヒントを見つけてみたいと思います。

自社に活かすための事例の見方

次回から3回にわたって実在の企業事例を紹介していきますが、最終的には事例から学び、その学びを自社に活かして頂くことが目的です。重要なのは知って終わりにせず、自社で活かすこと。今回はそのための事例の見方のポイントをお話したいと思います。忘れてはいけないのは、「事例はあくまでも事例である」ということ。その会社でうまくいったという個別具体的な事実でしかありません。これを、顧客も組織も商材も異なる自社で活かすためには、一度、どの会社にも当てはまる抽象的な概念に置き換える必要があります。その上で、その抽象的概念を自社固有の顧客、組織、商材に当てはまるようアレンジしていくのです。この抽象化⇔具象化の変換を意識することが事例を活かすために重要となる見方のポイントです。

優れた経営者に共通する「抽象化⇔具象化」の見方

ルイス・ガースナー氏(ナビスコ→IBM)、原田泳幸氏((米)アップル→日本マクドナルド)などが、異業種の経営においても成果を上げることができるのはなぜでしょうか。(米)アップル社の副社長を務めた原田泳幸氏が、日本マクドナルドホールディングスのトップにヘッドハントされ、「マックからマックへ」と騒がれたのは今から8年前のことです。皆さんもご存じのとおり原田氏は、当時経営に行き詰まっていた日本マクドナルドホールディングスの既存店売上高を就任当時から現在まで、8期連続で増加させ続けています。コンピューターとハンバーガーの全く売り方が異なる異業種でも経営できるのには理由があるはずです。その1つがまさにこの「抽象化←→具象化」の考え方ではないでしょうか。つまり、業種が異なれば方法こそ異なりますが、やるべきことの本質は同じだということです。先ほどの例で言えば、体重を落とすには摂取カロリー<消費カロリーが実現できれば方法はジョギングでも食事制限でも成果は出るということです。原田氏はよく「基本に立ち返れ」ということをおっしゃいますが、この基本こそがどの業種にも共通する抽象的概念なのだと思います。

世の中は事例の宝庫

インターネットの普及を機に様々な情報が早く、低コストで簡単に手に入るようになりましたが、企業経営の参考事例も例外ではありません。事例は単なる情報として記憶しようとしてもいつの間にか忘れてしまいます。そこでいったん手間を加えて抽象化することで知識としてストックするのです。この作業がいわゆる学びの作業です。情報を得て事実を知ることのみでは学びとは言えません。そして何より、学ばなければ活かせないのです。次回以降は新聞、雑誌、TVでも取り上げられる馴染みがある企業を題材にして、インターネットなどから比較的簡単に収集できる情報を基に事例から学ぶということを体現していきたいと思います。

プロフィール

株式会社オーナーズブレイン 代表取締役・公認会計士・税理士 小泉 大輔
[所属・役職]
株式会社オーナーズブレイン 代表取締役・公認会計士・税理士
[略歴]
朝日監査法人(現あずさ監査法人)、新日本監査法人を経て現職。
株式公開支援、M&A、企業価値算定をはじめ、会計・財務のコンサルティングを主たる業とするほか、数多くのセミナー・講演活動を行っている。
[著書・訳書など]
『コーポレート・ガバナンス報告書 分析と実務』2007年4月(共著、中央経済社)
『要点解説 金融商品取引法』2007年10月(共著、中央経済社)
「財務スキル教室」(「クオリティー・マネジメント」‐日科技連)
「金融商品取引法に向けた企業の対応」(「クオリティー・マネジメント」‐日科技連)等
[URL]
http://ownersbrain.com/

株式会社オーナーズブレイン シニアコンサルタント 山本信幸
[所属・役職]
株式会社オーナーズブレイン シニアコンサルタント
[略歴]
事業会社で財務・経理業務及び株式公開業務に従事した後現職。
株式公開支援、企業価値算定などの会計・財務のコンサルティングの他、中小企業の事業計画策定、組織活性化、業務改善コンサルティングを行っている。
[URL]
http://ownersbrain.com/

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