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グローバル化に対応する日本企業となるために

株式会社ニューチャーネットワークス 高橋透 福島彰一郎

第3回グローバルビジネス進出に必要不可欠なマネジメント力
~グローバル・マネジメントプラットフォームによる競争力向上~

第2回原稿(http://ss-smb.nikkei.co.jp/column/11/02.html)ではグローバル・マーケティング戦略における重要な考え方である、共通化戦略とカスタマイズ戦略について紹介した。共通化戦略とカスタマイズ戦略という考え方は、マーケティングに限らず、他の業務のマネジメントにも必要である。共通化によるグローバルでのマネジメント業務基盤を、「グローバル・マネジメントプラットフォーム」と呼ぶ。

「グローバル・マネジメントプラットフォーム」とは、グローバルに点在する各拠点が共有するべき業務のシステムと、それを支えるノウハウ、知識、情報などの支援サービスを指す。「グローバル・マネジメントプラットフォーム」を共有することで、各拠点がより低コストで、より早く高いレベルの業務レベルを達成できる。そして、その「グローバル・マネジメントプラットフォーム」に各地域拠点独自のシステム、支援サービスを加えることで、地域に適合した業務の構築も可能となり、業務全体としての競争優位性を構築出来る。

「グローバル・マネジメントプラットフォーム」は、一般的に間接業務である法務、知財、人事、総務、経理などで有効と考えられるが、研究開発、商品企画、設計・開発、調達、生産、物流などの直接業務におけるマネジメント業務でも大変効果的と考えられる。

生産業務で考える「グローバル・マネジメントプラットフォーム」の例

例えば製造業の重要業務である生産の「グローバル・マネジメントプラットフォーム」について考えてみたい。生産拠点は、生産コストや各国の法人税優遇措置、ターゲット市場への近さなどを考慮して適切な場所に構築される。拠点構築においては、生産能力決定や工場立地・ネットワークデザイン、生産技術の選択、購買・サプライヤー管理、生産計画・統制、品質管理、原価システム、IE・改善、人事・労務管理、マネジメント体制などの業務システムの検討が必要となる。

これらの業務システムを各拠点でゼロから企画検討するのではなく、共通の思想で設計された「グローバル・マネジメントプラットフォーム」を活用する。それによって拠点構築リードタイムが短縮され、同時に他の生産拠点との機能分担、連携もスムーズになり、同時に業務ノウハウの蓄積も可能となる。

また地震や洪水などの自然災害や各種カントリーリスクが発現した場合も、マネジメントプラットフォームを共通化しておくことで、拠点間のシフトがしやすくなり、サプライチェーン全体への影響を低減することができる。

しかし生産業務マネジメントのすべてを共通とするということでもない。サプライヤー管理であれば、現地の商習慣にあわせたカスタマイズが必要となる。また人事・労務管理なども現地の労働環境や労働価値観にあわせたカスタマイズが必要である。

「グローバル・マネジメントプラットフォーム」による業務上の競争優位性

今回は生産における例を紹介したが、「グローバル・マネジメントプラットフォーム」によるベネフィットとして、以下の様なことが考えられる。

  • 1.多くの社内メンバーが同じプラットフォームに沿って業務を行うことで、改善点を見つけやすくなり、品質・コスト・リードタイムの面で連続的な改善が行える。
  • 2.同じ業務プラットフォームで業務を行うことで、拠点間のコミュニケーションがスムーズになる。また人の異動や交流もしやすくなる。
  • 3.業務効率が高まり、戦略的な業務にかける時間が多くなる。
  • 4.複数の拠点の状況を把握しやすくなり、経営のガバナンスが効きやすくなる。
  • 5.社外の取引先との連携も行いやすくなり、その関係を強化できる。例えば、グローバルな顧客企業にとって、世界のどこでも同じ品質のサービスを提供できるサプライヤーは重要な戦略パートナーとなりうる。
  • 6.他社への業務のアウトソーシングも行いやすくなり、コスト競争力が向上する。

グローバル・マネジメントプラットフォームを構築するための戦略視点

「グローバル・マネジメントプラットフォーム」は、単に業務面のみで検討されるのではなく、競争優位を意識したビジネスモデル戦略を企画、構想した上で、それを強化、支援するために構築されるべきである。

また海外に進出して間もない企業にとって、すべての業務を一度にプラットフォーム化することは現実的ではない、海外でのビジネスモデル戦略の発展段階に応じて、進化させるべきである。当面のターゲット市場において事業成功要因となる重要業務から重点的にプラットフォームを構築し、足りない部分は「他社のプラットフォーム」をアライアンスにより活用するのも有効である。

そして一度構築した「プラットフォーム」であっても、市場の競争状況に応じて共通化すべき部分と各地域拠点に任せる部分を適宜見直すことも重要である。

プロフィール

株式会社ニューチャーネットワークス 代表取締役 高橋透
[所属・役職]
株式会社ニューチャーネットワークス代表取締役
株式会社ニューチャーアジア代表取締役
上智大学経済学部非常勤講師
[略歴]
1987年上智大学経済学部経営学科卒業後、旭硝子株式会社入社、セラミックスのマーケティング、新規事業の消費財の商品企画、広告宣伝を担当。その後大手コンサルティング会社を経て、1996年に経営コンサルティング会社ニューチャーネットワークスを設立し、代表取締役を務める。2010年より上智大学非常勤講師。
[著書・訳書など]
「ネットワークアライアンス戦略」(共著、日経BP、2011年)
「事業戦略計画のつくりかた」(PHP研究所、2006年)
「図解でわかる・技術マーケティング」(共著、JMAM、2005年)
「GE式ワークアウト」(デーブ・ウルリヒ他著、共訳、日経BP、2003年)
[URL]
http://www.nuture.co.jp/

株式会社ニューチャーネットワークス 取締役 シニアコンサルタント
福島彰一郎
[略歴]
1995年東京大学大学院工学系研究科材料学専攻修士課程修了
1996年同大学先端科学技術研究センター研究生
1998年米カーネギーメロン大学技術政策学部修士課程修了
1999年に経営コンサルティング会社ニューチャーネットワークスに入社、現在に至る。
[著書・訳書など]
「図解でわかる・技術マーケティング」(共著、JMAM、2005年)
[URL]
http://www.nuture.co.jp/

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