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会社の持続に欠かせない相続、事業承継

東京共同会計事務所 税理士 簗田 晋治

第3回相続、事業承継の税務に関する注意点

1.相続税、贈与税、譲渡所得税の課税関係及び特徴

個人間で財産の移転があった場合には、相続等、贈与、譲渡のいずれかに該当し、相続税、贈与税、譲渡所得税(所得税・住民税)が課されます。

相続税は、亡くなった方の財産を相続や遺言によって取得したときに相続人等に課される税金です。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与により譲り受けた財産の価額に対して贈与を受けた者が課される税金です。譲渡所得税(所得税・住民税)は、資産を譲渡したときにその財産の譲渡益に対して、譲渡をした者が課される税金です。それぞれの税金は場合に応じて、課税対象者、課税対象となる金額、税率が異なってきます。

企業オーナーが生前に後継者へ財産(自社株式等)を移転する場合に、贈与または譲渡のいずれを選択した方が有利なのか、また、生前に財産を移転する際に将来発生する相続を考えたとき、生前の財産移転による贈与は効果的なのかなど、慎重に検討する必要があります。

2.相続税と贈与税

贈与税は相続税を補完する制度ですが、両者の税率を比較すると贈与税の累進税率の上昇が早く基礎控除額も低いため、税負担が重くなっています。これは、相続税の課税逃れのための生前贈与がなされないようにするためです。

しかし、前もって、相続税の税率よりも低い税率で贈与すれば、相続税の負担は軽くなります。相続税の税率40%が適用される部分があれば、それより低い贈与税率で贈与できれば節税ができます。もちろんより低い贈与税率が適用できる範囲で長年にわたって贈与していけばより多くの節税ができます。贈与税は、贈与する人と贈与の時期を分けることにより節税が可能です。その結果、相続税の節税になります。

また、将来的に相続財産(自社株式等)の価値の上昇が見込まれている場合には、相続時精算課税を適用することによって、相続税算定時の課税対象金額を贈与時の価値で固定し、かつ、贈与の際には20%の税率で税額が計算されるため、効果的なタイミングで贈与時の税負担を少なくして財産を移転させることができる可能性があります。

3.贈与税と譲渡所得税

譲渡の場合には、自社株式等の買取り資金が後継者に必要となります。また、後継者の株式買取り代金相当額(税引後)の資金はオーナー経営者側に残り、将来の相続財産となります。譲渡を実施する場合には、後継者の資金繰り及びオーナー経営者の譲渡所得税、将来の相続税などを考慮して、譲渡の有効性を判断することになります。

なお、時価よりも低い価額で自社株式等の譲渡があった場合には、譲渡者(オーナー経営者)から譲受者(後継者)に贈与があったものとみなされ、時価に満たない部分に対して譲受者に贈与税が課されます。株式等の譲渡価格は慎重に検討する必要があります。

プロフィール

東京共同会計事務所 税理士 簗田 晋治
[所属・役職]
東京共同会計事務所 税理士
[略歴]
山本共同会計事務所(現税理士法人ワイズコンサルティング)、 公認会計士辻会計事務所 (現 辻本郷税理士法人)を経て現職。
相続・事業承継対策、M&A(合併・買収等)に関する税務アドバイス、税務デュー・ディリジェンス等 
[論文・書籍]
「ケーススタディ これならわかる!金融取引の税金(連載)」:金融財政事情研究会『KINZAI ファイナンシャル・プラン』、2008年6月号(Vol.20/No.280)~10月号(Vol.20/No.284)
[講師]
  • 「相続事業承継事例発表『事業承継対策編』」:2011年11月、JP税務戦略研究会主催「第5回定例会」
  • 「どうなる!? 法人税・税制のゆくえ」:2010年12月、スターツ経営者クラブ主催
  • 事業承継支援セミナー「次代をひらく事業承継対策」:2010年11月、とやま中小企業応援ネットワーク事務局主催
  • 「プライベートバンキング(PB)にかかわる最新税務のポイント」:2010年3月、(株)FNコミュニケーションズ主催
  • ケーススタディで学ぶ従業員への事業承継提案事例:2009年12月、BMCネットワーク
  • 「相続・事業承継対策」「税制改正」等:金融機関職員研修、一般向けセミナー等多数
[URL]
東京共同会計事務所

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