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経営に役立てる強い決算書入門

株式会社 オーナーズブレイン 小泉大輔

第1回経営に役立てる強い決算書とそのポイント

1.経営に役立てる強い決算書とは?

(1)経営戦略と会計数字

決算書を読んで、正しく自社の体力を把握されていますか?決算書で良し悪しを判断する指標もっていますか?決算書を分析して、会社を良くする施策が立てられていますか?

突然、経済環境が変わっても、まさかの事態が発生しても、耐えられる財務体質をつくるためには、経営者ご自身で、決算書から自社の健康状態、体力を把握して、判断する指標を持っておくことは、とても大事です。

経営戦略は、会社の方向付けをし、ヒト、モノ、カネの経営資源を最適に資源配分すること。その資源配分の重点の置き方は、決算書に表れます。決算書が読めれば、経営戦略、儲けの構造が見えてきます。

さて、ここで、質問です。こちらの絵は何に見えますか?

ご存じの方も多いかと思いますが、これは、ルビンの壺と呼ばれるトリックアートです。一見すると、単なる壺ですが、ちょっと視点を変えると、2人の人が向き合っているように見えます。ぼんやり見ていたり、また、一つの方向だけから見ていたら、そこに何があるか読み取ることができません。
決算書も同様に、平たく見ていては、そこからは何も見えず、経営に活かすことはできません。

では、どのように読んだら、決算書を経営に活かすことができるでしょうか?

(2)名経営者はどのように決算書を経営に活かしているか?

決算書を経営に活かした事例をみてみましょう。

1)松下幸之助さんの戦略経理
松下電器産業の創設者である松下幸之助さんは、経理というもが、単に会社の会計係ではなく、企業経営全体の羅針盤の役割を果たすいわゆる経営管理、経営経理でなければならないとおっしゃっておりました。つまり、ただ数字を集めるという単なる経理事務の仕事でなく、集めた数字を分析して、いろいろな角度からデータを判断して、その先を予測して、いろいろな提案ができるような戦略経理となって初めて真の経理といえるのです。

2)稲盛和夫さんの経営と会計
アメーバ経営を基に、確固たる経営哲学によって、京セラ、KDDIを立ち上げ、そして、日本航空を再建し、再上場させた、稲盛和夫さん。27歳の時に、京セラを創業され、 会計は「現代経営の中枢」をなすものであると考えるようになったとおっしゃいます。
企業を長期的に発展させるために、企業活動の実態が正確に把握されなければならないことに気づいた稲盛和夫さんは、会計が経営にも重要であるとおっしゃいます。経営を飛行機の操縦、会計データが経営のコックピットにある計器盤に例え、機長が操縦するためには、機体の高度、速度、姿勢、方向を正確かつ即時に示す計器盤がないと、まともな操縦ができない。そして、経営者にとって大事なのは、遅すぎては何の手も打てなくなるため、会計データは現在の経営状態をシンプルに、またリアルタイムにつたえるものでなければならないとお話されています。

このように、経営と会計はつながってます。

2.決算書を見る上での大事なポイント

企業活動の基本は、「調達⇒投資⇒回収」というサイクルを繰り返し、お金を増やすことです。

つまり、企業活動の基本は、

  • (1)お金を株主、あるいは債権者から調達して、
  • (2)調達したお金を増やすために、商品、設備、ヒトへの投資を行い
  • (3)さらに、付加価値を付けて販売して、お金を回収して、"儲け"を得る

その一連のプロセスを言います。

たくさんの"儲け"を得るための大事なポイント、すなわち経営に活かす決算書を見る上での大事なポイントは、

そして、企業活動と決算書との関係は以下のようになります。

  • 貸借対照表は、どこからいくらという「調達」と、どこへの「投資」(運用)しているかを示します。
  • 損益計算書は、いくら儲かったかを示します。
  • キャッシュ・フロー計算書は、どこからお金を「調達」し、どこにお金を「投資」(運用)し、いくら「回収」したかを 示します。

では、それぞれの決算書を経営に活かすためには具体的にどのような視点でみたらよいでしょうか?
次回以降、決算書を経営に役立てる視点について、お伝えしたいと思います。

プロフィール

株式会社オーナーズブレイン 代表取締役・公認会計士・税理士 小泉 大輔
[所属・役職]
株式会社オーナーズブレイン 代表取締役・公認会計士・税理士
[略歴]
朝日監査法人(現あずさ監査法人)、新日本監査法人を経て現職。
株式公開支援、M&A、企業価値算定をはじめ、会計・財務のコンサルティングを主たる業とするほか、数多くのセミナー・講演活動を行っている。
[著書・訳書など]
『コーポレート・ガバナンス報告書 分析と実務』2007年4月(共著、中央経済社)
『要点解説 金融商品取引法』2007年10月(共著、中央経済社)
「財務スキル教室」(「クオリティー・マネジメント」‐日科技連)
「金融商品取引法に向けた企業の対応」(「クオリティー・マネジメント」‐日科技連)等
[URL]
http://ownersbrain.com/

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