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First step アジア進出の税務

グラントソントン太陽ASG税理士法人 国際税務担当パートナー 宮島 久美子

第2回アジア諸国の税金基礎知識

海外進出に係る税コストを検討する場合には、法人税以外に間接税や源泉税なども考慮し、総合的な税コストを把握する必要があります。そこで、第2回はアジア各国の法人税、付加価値税などの間接税、さらに利子や使用料に係る源泉税について解説します。

1.法人税

(1)シンガポール

決算日は任意に選定することができます。法人税率は17%とアジアの中でも低いです。日本と異なり賦課課税方式を採用していますので、税額は納税者の提出する申告書等に基づいて課税当局が確定します。
子会社・支店ともに、課税対象は国内源泉所得と国外源泉所得のうちシンガポールに送金された所得です。つまり、国外源泉所得はシンガポールに送金されない限り課税されません。

(2)インド

会計上の決算日は任意に選定できますが、税務上の事業年度は法人・個人ともに4月1日から3月31日です。
子会社の場合は全世界所得が、支店の場合は国内源泉所得のみが法人税の課税対象になります。外国法人に対する税率は40%で、内国法人の30%よりも高く設定されています(*)
最低代替税制度が採用されており、インド税法の規定に従って計算された税額にかかわらず、最低税額として当期純利益の18.5%を納付しなければなりません。

  • (*)このほか教育目的税とサーチャージが課されるため実効税率はそれぞれ42.024%、32.445%になります。
(3)タイ

決算日は任意に選定することができ、歳入庁への申請及び承認により変更も可能です。会計期間は12か月でなければなりません。
子会社の場合は全世界所得が、支店の場合は国内源泉所得のみが課税対象となります。タイの実効税率は原則30%ですが、2013年および2014年は時限的減税措置により20%になる予定です。

(4)ベトナム

税務上および会計上の事業年度はいずれも原則として暦年ですが、財政省の承認により、3月、6月、9月末を決算日として採用することが可能です。
子会社の場合は全世界所得が、支店の場合は支店帰属所得のみが法人税の課税対象になります。

(5)インドネシア

決算日は任意に選定することができます。
法人税率は25%で、子会社の場合は全世界所得が、支店の場合には支店帰属所得のみが課税対象になります。

2.間接税(GST、VAT)

日本の消費税と同様に、他のアジア諸国にも物品・販売税(GST:Goods and Services Tax)、付加価値税(VAT:Value Added Tax)などの間接税があります。基本的に物品の販売やサービスの提供が課税対象となります。輸出取引については日本と同様に免税とされるケースが多いです。

(1)シンガポール

事業者が事業として販売した資産や提供したサービスは7%のGSTの課税対象となります。納税義務者は年間の課税売上高が100万シンガポールドルを超える事業者で、課税事業者の登録が必要です。
シンガポールのGSTは、インボイス方式を採用しているため、取引時にはタックスインボイスという請求書が発行されます。タックスインボイスの裏付けがない場合は仕入税額控除を受けることができません。

(2)インド
  • [1]中央販売税(CST:Central Sales Tax)
    州を横断する取引を行った場合にはCSTが課税されます。販売元は顧客よりCSTを徴収して中央政府に納付します。基本税率は2%です。
  • [2]州付加価値税(VAT)
    州内取引については州VATが課税され、その標準税率は12.5%です。州を横断する取引には上記[1]のCSTが課税され、州VATは課税されません。
(3)タイ

事業者は、事業活動を開始する前に、税務署に対してVAT登録の申請を行わなければなりません。
年間売上が1,800,000バーツ以下の小規模事業者は免税事業者とされますが、申請により課税事業者になることが可能です。VATの税率は7%でインボイス方式を採用しています。

(4)ベトナム

VATの税率は0%、5%、10%の3段階で、標準税率は10%です。水道、食料品、医薬品、教育補助など一定の物品の販売及びサービス提供に対しては5%の軽減税率が適用されます。

(5)インドネシア

VATの税率は10%でインボイス方式を採用しています。
原則として、本支店間や支店間など同一企業内での物品の移動などもVATの対象になりますが、本店(*)が免除許可申請をすることにより、同一企業内でのVAT課税の免除を受けることができます。免除許可を受けた場合には、5年ごとに更新が必要です。

  • (*)本店所在地により免除申請ができない場合があります。

3.源泉税

日本親会社は、海外子会社に資金、技術、管理・経営ノウハウ等を提供し、子会社から配当・利子・ロイヤルティ・マネジメントフィーという形で回収します。これらのうち、配当・利子・ロイヤルティに対しては通常現地で税金が課され、源泉徴収されたあとの金額が日本に送金されてきます。租税条約により減免されるケースもありますが、租税条約の減免措置を受けるためには、最初の支払前に租税条約届出書を提出しなければなりません。租税条約届出書は、支払いを受ける日本親会社が、子会社経由で子会社のある国の課税当局に提出をします。

  • (*1)配当受領者は免税ですが、配当支払者に15%の配当分配税が課されます。
  • (*2)租税条約で規定している税率が国内法の税率よりも高いため、国内法の税率により課税されます。

プロフィール

グラントソントン太陽ASG税理士法人 国際税務担当パートナー 宮島 久美子
[所属・役職]
グラントソントン太陽ASG税理士法人 国際税務担当パートナー
[略歴]
Big4国際税務部門、外資系大手企業のコントローラーを経験後、グラント・ソントン太陽ASG税理士法人にて、外資系企業や国際展開企業を中心に税務コンプライアンスおよび税務コンサルティングに従事。外国税額控除、タックスヘイブン対策税制、租税条約と国内法、国際源泉課税などをテーマに多数のセミナーおよび執筆を行っている。
[URL]
http://www.foresight-law.gr.jp/

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