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戦略的企業法務のすすめ(臨床法務から予防法務・戦略法務へ)

島村法律会計事務所 弁護士・公認会計士 島村和也

第1回正しい予防法務・戦略法務の必要性

1.トラブル解決のための法務から

弁護士と付き合う典型例は、訴訟を提起された、あるいは、訴訟を提起したい、という場合でしょう。

従来の企業法務、特に普段、弁護士と相談する機会がないような会社において、企業法務の必要性が顕在化するのはトラブル発生後であり、トラブル解決のための法務、いわゆる臨床法務といわれる場合が中心であったと思われます。

しかし、トラブル解決のための法務は、多額の費用と教訓を残しますが、企業の経営管理という観点から見て効率的とはいえません。

効率的な経営管理という観点からの企業法務のあり方を、4回にわたり解説いたします。

2.臨床法務・予防法務・戦略法務の整理

ここで、トラブル発生後に対応するための法務を臨床法務、トラブル発生前に備える法務を予防法務、法務的な観点からの企業戦略や経営管理体制構築まで含めた法務を戦略法務と分類し、まとめてみましょう。

3.臨床法務から戦略法務への方向性

臨床法務より予防法務・戦略法務がいいといえるのか、無用の費用をかけるだけではないか、トラブルが発生してから手当すれば十分ではないか、と考える方もいるかもしれません。

しかし、債権が任意に回収できない場合、弁護士に相談して訴訟で回収すれば、弁護士費用だけでも債権の数パーセント~十数パーセントになる可能性があります。さらに、たとえ勝訴しても相手企業が倒産すれば全額回収できない場合もあります。

経営管理の方向性として、問題が生じないうちに処理する方がよいということに、多くの経営者が賛同することでしょう。

4.正しい予防法務・戦略法務の必要性

他方で、誤った予防法務・戦略法務であれば、無用な費用をかけただけということになりかねません。顧問弁護士と契約して相談をしない、企業の実務と離れた研修を行う、無意味な規程を作成するなど、危機管理の名の下に無駄な費用を支出するケースもあります。

紛争が発生してから手当をする場合に比べ、費用対効果がよくなるように予防法務をすすめるとともに、法務的な観点を加えた経営管理体制を構築することが、企業法務のあるべき方向性といえます。

プロフィール

島村法律会計事務所 弁護士・公認会計士 島村和也
[所属・役職]
島村法律会計事務所 代表
[略歴]
平成07年10月 監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入所
平成10年02月 公認会計士登録
平成16年10月 弁護士登録
平成16年10月 阿部・井窪・片山法律事務所入所
平成20年03月 島村法律会計事務所設立 代表 就任(現任)
平成20年06月 (株)ソディックプラステック 監査役就任
平成20年07月 (株)スリー・ディー・マトリックス 監査役就任
平成24年07月 (株)スリー・ディー・マトリックス 取締役就任(現任)
[著書・論文等]
「会計不正のはなし」(共著、中央経済社、2013年)
「企業法務担当者のためのIFRS」(共著、『ビジネス法務』連載、2011年5月号~2012年4月号、中央経済社)
「IFRSで企業法務が変わる」(共著、中央経済社、2010年)
「企業防衛のリスク管理」(『クオリティマネジメント』2006年3月号、日本科学技術連盟)

[バックナンバー]戦略的企業法務のすすめ(臨床法務から予防法務・戦略法務へ)

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