NIKKEI

トップ>企業マネジメント最新トレンド>戦略的企業法務のすすめ(臨床法務から予防法務・戦略法務へ)

戦略的企業法務のすすめ(臨床法務から予防法務・戦略法務へ)

島村法律会計事務所 弁護士・公認会計士 島村和也

第2回予防と戦略の前提としてのリスク管理

1.リスク管理を考える

トラブル発生前の法務を考えるにあたり、リスク管理の考え方を検討したいと思います。もちろん、リスク管理には様々な手法と考え方がありますが、ここでは、予防法務、戦略法務を考えるために簡略化して考えましょう。

トラブル発生前に相談する、トラブル発生に備えると言っても、前提として、まだ発生していないトラブルの内容がわかるのか、という問題があります。

リスク管理をトラブルへの予防と管理と考えると、その第一歩は、発生しうるトラブルの予測です。

2.契約におけるリスク管理

企業が取引を行う際に作成する契約書は、取引において発生しうるトラブルを予測し、その対処を予め記載するリスク管理のための書面です。

何の問題もなく、契約書通り業務が行われ、何の問題もなく対価が支払われれば、契約書は無駄に書面を作成しただけにも思えます。実際、通常業務が滞りなく行われている場合には、契約書の意義がわからなくなるかもしれません。

しかし、例えば、販売した製品に相手方が納得せず、検収してくれない場合はどうでしょう。検収をどのような条件で行うか、検収がなされない場合はどうするかを契約書に明記しておく必要があります。

このように相手方との間で生じうる問題を洗い出し、問題が生じた場合の解決方法をあらかじめ文書にすることが、リスク管理としての契約書の作成です。

さらに、発生しうるトラブルを予測した上で、法務的な観点からトラブルが発生しない管理体制を構築しておくことが、戦略的な経営管理であり、法務的な観点から経営管理を行う戦略法務であるといえます。

3.リスクの洗い出し

販売した製品が検収されない、代金が回収できない、これらは指摘されれば当然予測できるリスクのように思えます。しかし、実際に、漠然と生じうるリスクと対策を契約書に定めるだけでは十分とはいえません。

将来生じうるトラブルを具体的に予測し、現実的な対策を考えてみましょう。
業務内容、取引の相手方、生じうるクレームを把握しているのは当事者である企業自身です。発生しうる具体的なトラブルを最も適切に予測しうるのは、自らの業務内容や取引先をよく知る企業自身であるといえます。

トラブルを予測し、対策を考えるリスク管理の視点を経営管理に役立てましょう。トラブルを予測し、これを予防するための法務的な視点を加えた経営戦略の立案やこれを実行する体制構築に役立つことが、経営管理のための企業法務のあるべき姿といえます。

プロフィール

島村法律会計事務所 弁護士・公認会計士 島村和也
[所属・役職]
島村法律会計事務所 代表
[略歴]
平成07年10月 監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入所
平成10年02月 公認会計士登録
平成16年10月 弁護士登録
平成16年10月 阿部・井窪・片山法律事務所入所
平成20年03月 島村法律会計事務所設立 代表 就任(現任)
平成20年06月 (株)ソディックプラステック 監査役就任
平成20年07月 (株)スリー・ディー・マトリックス 監査役就任
平成24年07月 (株)スリー・ディー・マトリックス 取締役就任(現任)
[著書・論文等]
「会計不正のはなし」(共著、中央経済社、2013年)
「企業法務担当者のためのIFRS」(共著、『ビジネス法務』連載、2011年5月号~2012年4月号、中央経済社)
「IFRSで企業法務が変わる」(共著、中央経済社、2010年)
「企業防衛のリスク管理」(『クオリティマネジメント』2006年3月号、日本科学技術連盟)

[バックナンバー]戦略的企業法務のすすめ(臨床法務から予防法務・戦略法務へ)

企業マネジメント最新トレンド 一覧へ

日経産業新聞 ビジネス動画 動画で見る、話題の新製品・先端技術 詳しくはこちら

日本大学 通信教育部

月間アクセスランキング

  1. 企業マネジメント最新トレンド
    グローバルに対応しうる事業戦略とは
  2. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の具体的な改正内容とその対応のスケジュール
  3. 企業マネジメント最新トレンド
    正しい売上・利益計画の立て方
  4. 企業マネジメント最新トレンド
    企業価値とは何か。経営にどう影響するのか
  5. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正における具体的な取組み方法

経営喝!力 ビジネスIT活用index