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戦略的企業法務のすすめ(臨床法務から予防法務・戦略法務へ)

島村法律会計事務所 弁護士・公認会計士 島村和也

第4回経営管理における戦略的企業法務

1.経営者から見た戦略的な企業法務

最終回では、経営者から見た戦略的な企業法務を考えます。

経営者の視点から見ると、企業法務は、法務部や総務部などの管理部門が中心となって、現場で処理する問題のように映るかもしれません。

しかし、戦略的な企業法務は、経営者の視点から見た企業の将来像を考えるにあたっても重要です。

2.経営上の重要な契約と経営上のリスク管理

事業提携や資本提携など、企業の戦略的観点からの取引を行う場合、提携する相手方との紛争は、経営者交代にまで発展しかねないリスクを含んでいます。

また、企業間で戦略的な契約を締結する場合には、違約がある場合に、相手方経営陣の交代まで視野に入れたリスク管理が必要です。

さらに、経営上のリスク管理にあたっては、企業統治における法令遵守(コンプライアンス)を柱としなければなりません。

3.経営管理におけるコンプライアンスの重要性

コンプライアンスに基づく企業統治に失敗した場合、それは企業の致命的な不祥事となります。経営者は責任をとって退任し、会社から責任追及をされることすらあります。問題が生じてから処理すれば足りる分野ではないことが明らかでしょう。

企業経営上の致命的な失敗となるような不祥事を起こさないために、経営管理上の予防法務として、経営者自らがコンプライアンスを重視すべきことはいうまでもありません。

4.企業統治における戦略法務

コンプライアンスを、多数の人間が様々な立場で参加する企業の統治上の価値観として考えてみましょう。

企業を一つの社会ととらえれば、企業の構成員が共有しうる価値観として、法令と倫理を尊重するコンプライアンスは、自然な考え方です。

構成員が共有できる価値観を背景に、企業を統治する、経営を行うという極めて当然の話が企業統治におけるコンプライアンスなのです。

企業の構成員が共有できる価値観としてのコンプライアンスを活用し、役職員の士気を向上させることが、企業統治のための戦略的な企業法務の活用です。

5.企業理念としてのコンプライアンスの実現

企業の存在意義を考えると、コンプライアンスを無視した企業経営はありえません。社会にとって有害無益な企業の存在を肯定する経営者はいないでしょう。コンプライアンスとは経営管理の根本にある経営理念に当然に含まれるものです。

経営理念としてのコンプライアンスを実現することを念頭に、企業戦略を立案し、経営管理体制を構築することが、経営管理のための戦略的な企業法務であるといえます。

プロフィール

島村法律会計事務所 弁護士・公認会計士 島村和也
[所属・役職]
島村法律会計事務所 代表
[略歴]
平成07年10月 監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入所
平成10年02月 公認会計士登録
平成16年10月 弁護士登録
平成16年10月 阿部・井窪・片山法律事務所入所
平成20年03月 島村法律会計事務所設立 代表 就任(現任)
平成20年06月 (株)ソディックプラステック 監査役就任
平成20年07月 (株)スリー・ディー・マトリックス 監査役就任
平成24年07月 (株)スリー・ディー・マトリックス 取締役就任(現任)
[著書・論文等]
「会計不正のはなし」(共著、中央経済社、2013年)
「企業法務担当者のためのIFRS」(共著、『ビジネス法務』連載、2011年5月号~2012年4月号、中央経済社)
「IFRSで企業法務が変わる」(共著、中央経済社、2010年)
「企業防衛のリスク管理」(『クオリティマネジメント』2006年3月号、日本科学技術連盟)

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