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中小・中堅企業に求められる人材マネジメント

株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO 大野順也

第3回中小・中堅企業における人材マネジメントの現状と解決策

ここまでは、市場環境等の変化から、画一的な人材マネジメントの機能不全や多様性の受け入れの必要性について解説してきました。今回は、もう少し現場の人材マネジメントの実態に沿って話を進めます。

組織・人事領域のコンサルティングを行う中で、クライアント各社から以下のようなことをよく耳にします。

  • 社員のやる気が高まらない。
  • 組織や社員が自律(自立)的に活動・行動しない。
  • 次世代を担う人材が会社の中に育っていない。
  • 社員は採用するものの離職が止まらない。

...等々

これらの事象は、クライアントの大小に関係なく発生します。コンサルタントは、これらの事象の本質的な原因(また問題)を明らかにし、解決策を策定・実行し、組織や社員に対する改善・改革を実現していくわけです。前述の通り、これらの事象は、クライアントの大小には関係なく発生し、その事象の本質的な原因はクライアントによって異なります。この異なる理由には、事業規模、業種/業界、クライアントの成長ステージ、社歴等、様々あります。

しかし、市場やクライアント、また業界等から、十分な認知を得ていない広義の中小・中堅企業において、ある一定の共通点が見られます。その共通点とは、社長(また会社のトップ)の価値観が組織の絶対基準になっているということです。

社長が絶対基準となり、組織を牽引することは、企業の創業ステージや成長ステージの初期段階において、大切な原動力のうちのひとつです。しかし、成長ステージも中盤に差し掛かってきた段階で、このような絶対基準を前提に、組織を牽引している場合、市場が成長しているうちは組織も呼応して成長を続けますが、往々にして成長に足踏みが見られます。そして、この成長の鈍化にいち早く気付き、対策を打っている企業は、もうひとつ上の成長ステージへ上がっているように感じています。

つまり、このような転換期を迎え、乗り越えていくためには、社長の絶対基準に沿った、所謂、"カリスマ経営"から、組織基準に沿った"マネジメント経営"へと、マネジメントスタイルの転換を図っていく必要があるわけです。

カリスマ経営からマネジメント経営への転換を図っていく上での一番大きな変化は、会社の絶対基準が社長ではなくなるということです。社長が組織すべての絶対基準になるのではなく、これまでの絶対基準が作り上げてきた風土や文化に加え、社会通念的観点に基づく新たな絶対基準が形成され、社長の持つ絶対基準を上回る必要があるわけです。

そうすることで、これまでは社長の絶対基準に沿って、受け入れられなかった物事を組織が受け入れるようになり、組織としての幅が持てるようになります。そして、この組織としての幅は、組織の自律(自立)性を生むと共に、イノベーションを実現していくわけです。

市場には、やる気やモチベーション、また自律(自立)性をテーマにした組織・人事領域のサービスなどが流通していますが、この組織の絶対基準に対する考え方が整備されていない限り、特に中小・中堅企業においては、十分な効果に繋がらないといっても過言ではありません。

つまり、どのような人事制度や人材育成に関する施策を策定する場合においても、この絶対基準をどのように置くかが非常に重要な要素となるわけです。

これまでの絶対基準が生み出した文化や風土などの良さを残しつつ、多様性を受け入れていくことで、マネジメントスタイルを変化させ、画一的でなく、イノベーションを実現できる人材マネジメントが実現できると言えるでしょう。

プロフィール

株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO 大野順也
[所属・役職]
株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
[略歴]
株式会社パソナ(現パソナグループ)の営業を経て、営業推進、営業企画部門を歴任し、同社の関連会社の立ち上げも手掛ける。
後に、トーマツ コンサルティング株式会社(現デロイト・トーマツ コンサルティング株式会社)にて、組織・人事戦略コンサルティング業務に従事し、2006年1月に『株式会社アクティブ アンド カンパニー』を設立。
代表取締役に就任。現在に至る。
[URL]
http://www.aand.co.jp/

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