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消費税増税でも利益を減らさない転嫁の実現

TMF税理士法人 代表社員 税理士・中小企業診断士
片山 康史

第4回値上げの方法論

税抜価格100円(税込価格105円)の商品を、消費税増税により税込価格108円で販売することが「転嫁」です。消費税増税のタイミングで「転嫁をしない」という意思決定をするのは深刻な問題であることを今まで紹介してきました。しかし何の付加価値も加わっていないのに、「転嫁」つまり値上げをすると、顧客は価格が高いと感じるかもしれません。顧客が価格を判断するのは主観的であり、その判断にあたって過去の価格と比べるからです。

値上げのためには、過去の価格との比較をされずに、顧客に自社の価値を訴求することが大事です。価格は顧客へのメッセージです。本来は商品の付加価値を高め、他社商品との差別化を目指すべきですが、消費税率引上げまでにそれほど時間がありません。限られた時間の中で、消費税増税という外部環境の変化に対応するには、自社の商品・サービスラインを再構築するのが現実的でしょう。

商品・サービスの再構築を検討したら、次はいつ値上げをするかを検討します。できれば2014年4月1日より前に値上げを実施したいところです。便乗値上げというクレームを受ける可能性があるので、その前に値上げをしたいところです。
ただし一旦値段を決めてしまうと、それから値上げするのは困難でしょう。もし商品・サービスの再構築をした際の顧客の反応を知りたいということであれば、その価格を期間限定価格として実験的に行うというのは一つのアイデアです。

最後にですが、最も重要なことは、「事業全体で値上げをする」という考え方です。すべての商品を一律に値上げするのではなく、値上げする商品と値上げしない商品を決めて、メリハリをつけた価格設定や料金設定にするということです。例としては、売れ筋商品は価格を据え置き、その他の商品は増税分3%以上の値上げを実施して、事業全体として増税前の利益を確保するというものです。

同様の見解が政府から発表されております。
「ある特定の商品やサービスにつき、他に特段の理由がないにもかかわらず、本体価格の3%を超える値上げが行われた場合、その商品やサービスだけを見ると、便乗値上げであるように思われますが、その事業者が、事業全体として税率変更に見合った適正な転嫁をしていれば、便乗値上げには当たりません。」
内閣官房ほか公表「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために」平成25年10月より抜粋

売上の確保も大事ですが、利益が減少しては意味がありません。転嫁による値上げによって一時的に売上は減少するかもしれませんが、それでも利益の確保を目指すという考え方は重要です。

プロフィール

TMF税理士法人 代表社員 税理士・中小企業診断士
片山 康史
[所属・役職]
TMF税理士法人 代表社員 税理士・中小企業診断士
[略歴]
日本マイクロソフト社、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、アルテスタ税理士法人を経て現職。日本へ進出する外資系企業および日本からの海外進出を得意とする。消費税率引上げに際しての日本商工会議所のプロジェクトチームに参画し、ガイドブックの作成、書籍執筆、全国各地での講演を行っている。
[論文・書籍]
日本商工会議所 経営指導員向け 消費税転嫁対策ガイドブック 執筆担当
同友館 企業診断ニュース 2012年5月号~7月号 「適切な役員給与の額は?」
[講師]
商工会議所主催消費税関連セミナー多数
2013年12月17日 多摩商工会議所主催「消費税率アップに伴う気を付けたい経理処理のポイント」
[URL]
中小企業診断士・税理士 片山 康史(マイクロソフト→税理士法人PwC→都内中堅会計事務所→いまココ)の国際税務・相続関係のブログ

[バックナンバー]消費税増税でも利益を減らさない転嫁の実現

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