NIKKEI

トップ>企業マネジメント最新トレンド>今、注目が集まる、個人情報保護法改正の動き

今、注目が集まる、個人情報保護法改正の動き

弁護士(小笠原六川国際総合法律事務所)
東海大学法科大学院教授
六川 浩明

第1回個人情報保護法の改正動向(1)

昭和39年にプライバシー概念が東京地裁判決に登場した以降、プライバシー侵害は民事事件においては、民法上の不法行為又は国賠法に基づく損害賠償請求訴訟の請求原因として、名誉毀損と並び、しばしば取り扱われてきました。平成15年9月12日最高裁判決は、プライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切った行為はプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成すると判示し、平成20年3月6日最高裁判決は、「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」は憲法13条によって保護されると判示しました。

平成17年より我が国で施行されている個人情報保護法は、新しい法的概念である個人情報・個人データ・保有個人データに含まれるものは何かという論点、及び、個人データを第三者に提供する際の許容要件の射程範囲という論点を中心として、混乱を惹起し、いわゆる過剰反応が社会問題化してきました。
また、我が国の個人情報保護法は、1980年のOECD8原則を踏まえ、1995年UEデータ保護指令25条及び26条に定める個人データの第三国移転の十分性基準を目指したものであったはずであろうが、結果としてEUは、日本の個人情報保護法制は当該十分性の基準を充足していないと判断しています。
ある識者は、我が国の個人情報保護法制度は、外圧への対処という点で失敗し、国内における適用の場面でもさまざまな過剰反応を生みむしろ必要な情報が共有されない事態を生んだという点で、二重の失敗だったと評価しているほどです。

個人情報保護法は今後改正される方向であり平成26年6月までに法改正の内容が大綱として取りまとめられ、平成27年通常国会への法案提出を目指すとされています。 個人情報保護法の改正の在り方については、通則法を改正せずに医療等の個別法を制定するという議論がありましたが、通則法それ自体を改正する方向であれば、医療等の個別法を制定する必要性は高くなくなるかもしれません。
保護されるパーソナルデータの範囲については、実質的に個人が識別される可能性を有するものとし、個人が特定される可能性を低減した個人データについては、個人情報及びプライバシーの保護への影響に留意しつつ、第三者提供における本人同意原則の例外として新たな類型が創設され、新たな類型に属するデータを取り扱う事業者が負うべき義務等が法定される予定です。
一方、ビッグデータ等を利用することによる個人情報及びプライバシー保護の要請もさらに高まることが想定されることから、プライバシー性が極めて高いセンシティブデータについては新たに類型が設けられ、その特性に応じた取り扱いがなされる予定です。

images_01.jpg

プロフィール

弁護士(小笠原六川国際総合法律事務所)
東海大学法科大学院教授(企業法務2,商法演習1,破産法等)
六川 浩明
[所属・役職]
弁護士(小笠原六川国際総合法律事務所)
東海大学法科大学院教授(企業法務2,商法演習1,破産法等)
[略歴]
一橋大学法学部卒。上場会社4社の社外監査役・社外取締役。
首都大学東京・産業技術大学院大学非常勤講師,早稲田大学文化構想学部非常勤講師を兼任。
[最近の共著書]
『裁判例にみる 特別受益・寄与分の実務』(共著、ぎょうせい、2014年2月)
『財務報告実務検定 公式テキスト 2014年版』(共著、TAC出版、2013年6月)
『IPO実務検定 公式テキスト 第4版』(共著、中央経済社、2013年4月)
『ディスクロージャーの業務がわかる』(共著、税務経理協会、2013年1月)
『金融商品取引法 課徴金事例の分析 インサイダー取引編』(共著、商事法務、2012年1月)
『金融商品取引法 課徴金事例の分析 虚偽記載編』(共著、商事法務、2012年1月)
『諸外国等における個人情報保護制度の監督機関に関する検討委員会・報告書』(共著、消費者庁企画課個人情報保護推進室、2011年7月)
[URL]
小笠原六川国際総合法律事務所

[バックナンバー]今、注目が集まる、個人情報保護法改正の動き

企業マネジメント最新トレンド 一覧へ

日経産業新聞 ビジネス動画 動画で見る、話題の新製品・先端技術 詳しくはこちら

日本大学 通信教育部

月間アクセスランキング

  1. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の具体的な改正内容とその対応のスケジュール
  2. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正における具体的な取組み方法
  3. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正を契機としたISOの活用方法
  4. 企業マネジメント最新トレンド
    正しい売上・利益計画の立て方
  5. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正の背景と意図

日経産業新聞ピックアップ

2017年10月20日付
  • 米ツナミ、VRで部品組み立て研修
  • サイバーブル、電子看板にネット動画広告配信
  • モフィリア、指先1つで静脈認証
  • 何でもつかむぞ万能ロボハンド 東北大、柔軟に変形
  • フジクラ、伸縮・曲げ自在な電子回路

経営喝!力 ビジネスIT活用index