NIKKEI

トップ>企業マネジメント最新トレンド>実例でわかる特許・意匠・商標

実例でわかる特許・意匠・商標

ノースブルー国際特許事務所 代表弁理士
駒津 啓佑

第2回特許は必要ないのか?

前回は、コピー商品を作ろうとする輩は、「早く・安く」マネものを作とうとするので「意匠権」をご検討ください。というお話でした。

マネものに対する保護といえば真っ先に「特許」を思い浮かべると思いますが、いきなり「意匠権」の話で意外に思った方もいらっしゃったのではないでしょうか。

コピー商品を作ろうとする輩に対して「意匠権」が有効なのであれば、「特許権」の立場はどうなってしまうのでしょう!?存在価値が問われる「特許権」!?

ということで、第2回目の今回は「特許権」についてお話ししていきたいと思います。

早速ですが、今回も開発者の立場を体験しながら考えていきましょう。

あなたは短針と長針がある時計を開発しました。いままでは日時計や砂時計などで時間を見ていたのでしょうか。これからは何時何分かすぐにわかります!すばらしいですね!

そこで、下にあるような権利範囲の「特許権」が取れたとします。

images_04.jpg

「特許権」は「特許請求の範囲」という欄に書かれた文章で権利範囲が決まります。実際にはこんなさっぱりとした文章の「特許請求の範囲」というのはないのですが、わかりやすい例として。

このとき「意匠権」の権利範囲と「特許権」の権利範囲の違いをまずは考えてみます。

前回お話ししたとおり「意匠権」の権利範囲は、「権利を取ったモノと形が同じモノか似ているモノ」です。「権利を取ったモノと形が同じモノか似ているモノ」かどうかは、「意匠権」を取るときに出す図面(六面図)に描かれているモノと「同じモノか似ているモノ」であるかで判断します。

今回の例で言えばどうでしょう。短針と長針がある時計の中でも、権利を取ったモノと「形が同じモノか似ているモノ」でなければ「意匠権」の権利範囲に入らないのです。つまり、形が「似ていないモノ」であれば、「意匠権」を使って訴えることができないわけです。

一方で「特許権」の権利範囲は、特許請求の範囲に書いてあるとおりなので、短針と長針があれば「どんな形であっても」権利範囲に入ることになります。これが「特許権」の強さなのです!

では、「意匠権」と「特許権」の基本的な違いをまとめてみましょう。

images_05.jpg

では最後に、実際の特許請求の範囲はどれくらい判断しにくいかを体験してみましょう。
例として特許の公開公報(特開2012-123456号)の最初の部分だけを抜粋してみます。

images_06.jpg

はい!読み飛ばした方は手を挙げて!!

お気持ちはよくわかりますが今回挙げた実際の特許請求の範囲の例はこれでも「だいぶ」わかりやすい部類に入ると思います。それであっても慣れていない方にとっては呪文みたいに見えますよね。

ということは、自分の会社が「特許権」を持っていて、上にあるような「特許請求の範囲」を読ませる立場だったとしたらどうでしょう?

自社の「特許権」を見たときに競合相手がちょっとブレーキを踏む。その間に自分たちはちょっとビジネスを有利に進める。

こんな風に「特許権」を使うことができると思えば、このわかりにくい呪文みたいな文章もちょっとはいとおしく見えるのではないでしょうか。

前回と今回の2回で「意匠権」と「特許権」の使い方と、それぞれの権利の違いをお話してきました。それぞれの良さを生かしていただけるときっと皆さんの会社のお役に立つと思います。ぜひ有効な活用方法を検討してみてください!

さて次回は、見た目という意味では似ているかもしれない「商標権」をまたまた「意匠権」と絡めてお話しさせていただこうと思います。

それでは次回もまた見てくださいね。

プロフィール

ノースブルー国際特許事務所 代表弁理士
駒津 啓佑
[所属・役職]
ノースブルー国際特許事務所 代表弁理士
[略歴]
2000年~2001年 ネットワーク管理補助業務に従事
2003年 情報セキュリティアドミニストレータ試験合格
2004年 東京理科大学卒業
2004年~2006年 国内中規模特許事務所勤務
大手企業のIT、ネットワーク、画像処理、自動車、半導体関連特許の弁理士補助業務に従事
2006年~2012年 国内小規模特許事務所勤務
2009年 弁理士試験合格
大手企業から個人までの特許・意匠・商標の弁理士業務・補助業務に従事
2011年4月~2013年3月 日本弁理士会 知的財産価値評価推進センター
2012年~ 前所長弁理士から事務所を承継し、事務所経営
侵害事件・ライセンス交渉などを含めたコンサルティングまで業務拡充。
弁護士、税理士、会計士、コンサルタントなどの他業種専門家との提携を深める。
2013年 事務所移転より事務所名称変更。
ものづくりとブランディングについてどんな相談に対しても解決策を提示できる事務所を目指して活動中。

[バックナンバー]実例でわかる特許・意匠・商標

企業マネジメント最新トレンド 一覧へ

日経産業新聞 ビジネス動画 動画で見る、話題の新製品・先端技術 詳しくはこちら

日本大学 通信教育部

月間アクセスランキング

  1. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の具体的な改正内容とその対応のスケジュール
  2. 企業マネジメント最新トレンド
    グローバルに対応しうる事業戦略とは
  3. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正において、企業が取組むべきこと
  4. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正における具体的な取組み方法
  5. 企業マネジメント最新トレンド
    企業価値とは何か。経営にどう影響するのか

日経産業新聞ピックアップ

2017年6月23日付
  • ドローン・3D、セット貸し 中小の建設会社向け、オリックス系と国際航業
  • 日本工営、福島で小水力発電所
  • IDEC、ナノバブル測定サービス 応用研究を支援
  • 東レ・デュポン、設備投資50億円 フィルムやゴム用繊維で
  • ゴルフを手軽に楽しんで、ブリヂストンスポーツ 屋内施設を展開

経営喝!力 ビジネスIT活用index