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中学生で起業した20代IT経営者が明かす
「成功する中堅・中小企業が考える新IT経営戦略4つのポイント」

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔

第2回この商品がいいのではない、あなたの商品がいいのだ

1.商品紹介という魔物にハマってしまう経営者たち

「小島さん、うちは今後を見据えてITに力を入れようと思ってね」
昼下がりの午後、黒いソファーに深々と腰を下ろしその経営者は私にこう切り出しました。

現経営者は先代から引き継いだ二代目。先代は経済成長期に下請け印刷業から出発し事業拡大。しかし現状は、下請け営業での事業拡大に伸び悩んでいました。そんな中、最近の日経で「Twitter」や「Facebook」という言葉を目にする機会が増えウェブ戦略に注目。自社でもウェブ戦略に活路を見出したいと語ります。

小一時間、社長は自社の優位性や商品を熱く語ります。この会社は自社で最先端の印刷設備を有する印刷工場を持ち、従来型の下請け営業でなく企画提案型の新しい営業スタイルを導入している。これらをホームページで打ち出し売上をアップさせたいということでした。

語る内容の熱さに頂いたコーヒーはすでに冷めるほど(笑)
経営者のお話を伺った後で最後に私はこう切り出しました。

「社長、分かりました。では、あなたの商品ってなんでしょうか?」と。

この会社は実際にある会社ではありません。
しかし私はこのような事例を数多く経験してきました。

今回はここからスタートです。

2.商品紹介という魔物の正体

結論から先にお話ししましょう。商品紹介という魔物の正体は「自己満足」です。先ほどの印刷会社の経営者の例を考えてみましょう。経営者が考える自社の優位性と商品をまとめると以下のようになります。

  • 自前で最先端の印刷設備を有する印刷工場を持つ
  • 従来型の下請け営業でなく企画提案型の新しい営業スタイルを導入

これらのポイントは、顧客目線という重要な視点が抜け落ち自己満足で終わっています。それはなぜでしょうか。ウェブ戦略を考える上で顧客目線の重要なポイントのひとつ。それは「簡単に目移りできる」ことを理解していないためです。

と言われても・・・。「簡単に目移りできる」ってどういうことだ?と思ったあなた。
答えはすごくシンプルです。今すぐ、あなたはパソコン、スマホの画面を消してみましょう。もう分かりましたか?私の文章を読むことができません。この様にページを離れて情報を遮断してしまうという行動が容易であること。これが「簡単に目移りできる」ということです。

また、価格比較サイトを初めとする比較サイトの存在は、同じ場所にいながら比較検討を容易に行うことを可能にしました。これもまた「簡単に目移りできる」重要なポイントになります。特に商品を対象とした場合には、比較対象として「価格」が重要視される傾向が強く、これは中堅・中小企業にとって不利な戦いであることは言うまでもありません。

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これを私たちの世界では「離脱」と表現します。この離脱行動がリアルと比較し非常に容易であること。これが、ある意味ではウェブ戦略を考える上での大きなマイナスでもあります。これをまず理解をしなくては次の話に移ることは出来ません。これを理解できるあなただけ、次の章をお読みください。

3.簡単に目移りさせないためにはどうしたら良いか

この章をすでにお読みのあなた。あなたはすでに私の「顧客目線」を体験することが出来ました。あなたは、実は2つの仕掛けを突破してここに到達していることにお気づきでしょうか。

  • 「今すぐパソコン、スマホの画面を消してくれ」としたが読み進んでいる。
  • 「理解できるあなただけ、次の章にお進みください」としたが読み進んでいる。

つまり、この文章を読み進んでいる時点で離脱せずにいたということを証明していますね。この文章を書き上げるまでには、先ほどの印刷会社の経営者の例を始め、数多くの経営者の悩みや苦しみがあります。それは同時に私の顧客の声でもあります。それがあるからこそ今回の記事が生み出されているのです。

こういうのが正しい!こういうのが売りです!という自己満足ではなく、私の顧客の声を素直に聞き、コンテンツとして反映することは、同じ悩みを抱える方への一助となる可能性は高まります。これが簡単に目移りしない理由です。

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4.あなたの商品はあなたの顧客にある

では、あなたの商品とはいったいなんでしょうか。答えはあなたの顧客にあります。

  • 既存顧客は、なぜあなたを選んだのか
  • 既存顧客の悩みを、どう解決したのか
  • 既存顧客は、なぜあなたを選び続けるのか(リピート顧客の場合)

これら、あなたが選ばれている理由自体が、あなたの商品であると言えるのではないでしょうか。中堅・中小企業が単なる物としての商品紹介を行っただけでは、価格比較の波に晒され、離脱行動が取りやすいウェブでは不利になりやすい状況を自ら招くことになるのです。なぜ、うちを選択してくれたのかの理由から自社のコンテンツを考え、どの様な解決を今までに用いてきたのか明らかにしていくこと。これが「あなたの商品」であり言い換えれば「あなただけの商品」とも言えるでしょう。

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では、先ほどの印刷会社の経営者はどうする必要があったのでしょうか。自慢の設備も営業スタイルも、今お付き合いしている顧客があなたを選択している理由であるかどうかは分かりません。そこで実際の顧客に「なんでうちと取引してくれているのですか?」と素直に聞いてみましょう。きっと顧客はあなたが考えていた自己満足とは違う、予想しなかった答えを返してくることでしょう。あなたの会社の魅力を再確認するきっかけになるかもしれません。

最後に。
もし「営業の子がかわいい」と言う声がたくさん返ってきたらどうするって?私なら、その可愛い営業の子に頼み込んで「お客さんに大人気の宣伝部長」として、お客さんと接する時に心掛けていること、ポイントなどを取材形式で動画撮影して、Youtubeにアップロードすることをオススメするでしょうね。少なくともその魅力は、経営者の方が考えていた生産設備や営業手法と比較して、既存顧客が「あなたの商品」を選んでいる理由として最適だからです。目移りもしなそうだしね(笑)

プロフィール

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔
[所属・役職]
合資会社サクラシティ 代表
技術経営修士(MOT:Management of Technology)
[略歴]
1985年11月、東京都(北千住)生まれ。2010年芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科修士課程修了。父親の影響を受け幼い頃よりパソコンに夢中になる。とりわけインターネット黎明期だった時代にICQやBBS、チャットに触れたことで、インターネットがもつコミュニケーションの可能性に魅せられる。1998年、中学校入学と同時期にインターネットを使った現在でいうSOHOやノマドのような活動を開始。2003年、高校在学中に合資会社サクラシティ設立。代表に就任。以降、大学院修了まで学生起業家として活動。現在は「知りたいを満たす」を経営理念とした、インターネット黎明期よりインターネットを活用したビジネスで培ってきたIT経営戦略コンサルティングを実施。中堅・中小企業事業者の実情を理解し、大規模プロジェクトへの従事経験を経た独自メソッドで事業規模問わずITを本気で取り組む経営者より絶大な信頼を得ている。
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