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中学生で起業した20代IT経営者が明かす
「成功する中堅・中小企業が考える新IT経営戦略4つのポイント」

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔

第4回価値創造を最大化する鍵は「未来」を感じてもらうことだ

1.顧客は「未来」を手に入れたがっている

前回(第3回)では「成功している中堅・中小企業の商品は「ストーリー」である」ということについて触れました。軽いおさらいとなりますが、「ストーリー」とは、顧客が選択する時の理由づけとなる動機を増やすため、自社の持つ様々なリソースをホームページに公開すること。第一歩としては自社の中身を一歩踏み込んだ内容まで公開し顧客に対して親近感や安心感を持ってもらうということでしたね(詳しく知りたい方は第3回をご覧頂ければと思います)

全ての経済活動のベースは、顧客が問題を抱える所から始まります。例えば「欲しいなあ」「困ったなあ」という悩みは、まさに顧客側が問題を抱えている状態ですね。そして、その問題を解決するための商品や方法などの「何か」を知るため、顧客は情報収集を始めます。つまり、顧客目線であるということは「顧客が知りたいと思うこと」を満たせなければ、問い合わせや注文を増やすことは出来ません。

この「何か」を小島流で表現してみたいと思います。それは、ズバリ「未来」です。この新IT経営戦略におけるウェブマーケティングの視点で、一番大切なもの。それは「顧客が思い描く未来を手に入れられるものが、あなたのホームページ上からリアルに感じ取れること」これに尽きるのではないでしょうか。

2.スターバックスから感じ取る「未来」

そんな「未来」の具体的な事例を、ここであなたにお話したいと思います。ホームページからは少し視点を変え、スターバックスを取り上げてみましょう。

私たちの業界では、ノマドワーカーと呼ばれる人たちがいます。ノマドとは英語で遊牧民の意味です。ITツールを活用することで、オフィスなどの特定の勤務場所に縛られることなく仕事をするワークスタイルを、遊牧民になぞらえてノマドワーカーと表現します。私の周りにいるノマドワーカーの多くは、スターバックスで仕事をすることを好みます。また、ノマドワーカーに憧れを持つ人たちも、スターバックスで仕事をしたいと思うと、話をするのをよく耳にします。

誤解を招く表現かもしれませんが、彼らの多くはコーヒーが大好き!という人種ではないでしょう。それは、彼らが口を揃えてこう言うからです。

「スターバックスで仕事をするって、なんかオシャレでカッコイイ」と。

こんな話をすると、こんな声が聞こえてきそうですね。

「小島さんね。そうは言うけどさ。うちは中堅・中小企業だよ?スターバックスの例を持ち出されても大手のやり方なんでしょ?ブランディングもしっかりしてるし」

そんな、あなた。新IT経営戦略をもう一度読み直してきてください。と、言いたい所ですが(笑)今回は最終回ということで、きちんとご説明したいと思います。しっかりと読んでくださいね。

3.ノマドワーカーにとっての未来

ノマドワーカーにとっての未来とはなんでしょうか。それはコーヒーの味でしょうか。スターバックスよりもコーヒーの味にこだわっているというお店は、きっと数多く存在するはずです。しかし、彼らの多くは、コーヒーの味にこだわっているお店に足を運ぶことはないでしょう。それよりも、ノマドワーカーにとって大切なことは、「スターバックスで仕事をする自分像」なのではないでしょうか。言い換えればノマドワーカーが思い描く未来を手に入れられる場所が、スターバックスという空間にはあるということです。

では、ノマドワーカーからみたスターバックスを、第2回や第3回でお話した「あなたの商品」や「ストーリー」に当てはめて考えてみましょう。まず「あなたの商品」は、スターバックスのお店で、ノマドワーカーというワークスタイルその物だという考え方ができます。そして「ストーリー」は、スターバックスのお店が持つ雰囲気や、ノマドワーカーたちが、スターバックスを使うとなんとなくかっこいいという、ノマドワーカーたちへの動機付けが広がっているという考え方ができます。

スターバックスという会社は、あなたもご存じの通りコーヒー屋さんです。しかし、ノマドワーカーという対象層で区切るとどうでしょうか。そこには、ノマドワーカーが求めている「理想的なワークスタイル」を提供する空間として「スターバックスの商品」や「スターバックスのストーリー」というシナリオが浮かび上がってくることでしょう。この場合、コーヒーという商品は完全にサブ扱いとなってしまいます。しかし、本来コーヒー屋さんであるスターバックスです。ノマドワーカーが思い描く未来を手に入れるためには、実際にお店に足を運ぶ必要性があり、そこではコーヒーを購入せざるをえないのです。

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4.顧客は未来を想像し膨らまし続けている

あなたは、これを「大手のやり方だから」と言って耳を塞いでしまって良いのでしょうか。誰が仕掛けたという視点だけで終わらせてしまって良いのでしょうか。大切なことは「コーヒー」というただの商品説明を脱し、ノマドワーカーの理想とするワークスタイルがスターバックスでは実現できるという未来が示されている。それによりコーヒーの味に興味が無い人もスターバックスに足を運ぶようになり、新しい価値創造を最大化できたということではないでしょうか。

「テントを買って家族みんなでキャンプに行きたい!」「今の住まいを新しくリフォームしたい!」「この案件を発注して売上を上げたい!」「新製品を開発してうちのブランドを作りたい!」顧客が抱えている悩みは、今この瞬間の悩みではありません。その先には、顧客が想像する未来があり、その未来は期待に満ち溢れています。その未来を実現するために、今この瞬間に顧客に悩みが発生しているのだという視点が大切です。

私が関わった、成功する中堅・中小企業の経営者は、自ら主体的に顧客が思い描く未来を考え、従業員はもちろん、既存顧客へのヒアリングや時にはアンケートも行い、顧客が思い描く未来とは何なのかを丁寧に浮き彫りにしている方々です。さらに進んだ経営者ですと、先ほどの部分に加えて自社の価値観やストーリーを説明するための情報発信を充実させていました。皆さんに共通することは、これで完成!ではなく、トライ&エラーを繰り返すという地道な努力をウェブ戦略で続けていらっしゃる方々です。

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5.今回の連載によせて

今回の新IT経営戦略では「ペルソナ」「マーケットイン」「プロダクトアウト」などの、マーケティング用語を用いてセミナーや書籍で説明されることが多いエリアです。しかし、「お~すごい!」と「大切だな~!」と一瞬分かった気になる。しかし、あまりにも話が自社の実態とかけ離れ、概念的で遠すぎないだろうか。あるいは「大手の事例でうちには関係ない」と思考停止してしまってはいないだろうか。これらを私はウェブマーケティングに進めないと悩んでいる数多くの経営者から肌身で感じてきました。正直、歯がゆい思いも何度もしました。そんな想いを胸に、今回の連載は執筆させて頂きました。いかがでしたでしょうか。

今回の連載を読み「うちもやるぞ!」と思ったあなた。今すぐ出来ます。あなたも新IT経営戦略に取り組み、そして実践してください。最後までお付き合い頂きまして誠に有難う御座いました。

最後に。
もし疑問や相談があれば、ぜひお話をお聞かせ頂けると嬉しいです。
私、小島が出来る限りあなたの疑問や相談にお答えさせて頂きます。

プロフィール

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔
[所属・役職]
合資会社サクラシティ 代表
技術経営修士(MOT:Management of Technology)
[略歴]
1985年11月、東京都(北千住)生まれ。2010年芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科修士課程修了。父親の影響を受け幼い頃よりパソコンに夢中になる。とりわけインターネット黎明期だった時代にICQやBBS、チャットに触れたことで、インターネットがもつコミュニケーションの可能性に魅せられる。1998年、中学校入学と同時期にインターネットを使った現在でいうSOHOやノマドのような活動を開始。2003年、高校在学中に合資会社サクラシティ設立。代表に就任。以降、大学院修了まで学生起業家として活動。現在は「知りたいを満たす」を経営理念とした、インターネット黎明期よりインターネットを活用したビジネスで培ってきたIT経営戦略コンサルティングを実施。中堅・中小企業事業者の実情を理解し、大規模プロジェクトへの従事経験を経た独自メソッドで事業規模問わずITを本気で取り組む経営者より絶大な信頼を得ている。
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