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事業承継における企業支配権の確保

はるか法律事務所 弁護士 松澤功

第2回定款自治の落とし穴

1.はじめに

前回は、企業支配権を確保するためには、会社の株式を確保しなければならないことを説明しました。今回は、実際に株式を確保するための第1歩として、自らの会社の足元を見直してみましょう。

2.定款、把握してますか?

さて、質問です。皆さんの会社の「定款」には、どのようなことが書かれているでしょうか?

大体の方は、「定款?う~ん・・・はっきり覚えてないなぁ・・・」という状態だと思います。
「定款なんて、会社を作ったときに作って、そのまんまだよ。」なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これは、ある意味やむを得ないと思います。特に中小企業の経営者の方にとっては、定款は会社を作るときの添付書類のひとつという感覚だったり、作成を専門家に任せきりだったりした方もいらっしゃるかと思います。

3.定款自治は、重い!

会社内部のルールについては、多くのことを会社自らが定款によって決めることができるようになっています(「定款自治」といいます。)。

その反面、定款で定めるものの中には、一定の行為をしたい場合に、定款に定めておかなければ効力が認められないものもあります。

また、定款自治の結果、会社は当然、定款による拘束を受けることになります。たとえば、株主総会の招集手続や決議の方法・内容が定款に違反していたときに、決議が裁判で取り消される可能性が出てきたり、取締役が定款に反する行為をして会社や第三者に損害を与えた場合には、その賠償をしなければならない可能性が出てきたりしてしまいます。

定款自治の範囲が広がって経営の自由度が高まったことに伴い、会社における定款の重要度もまた高まっているのです。

つまり、会社にとって、「己を知ること」は「定款を知ること」から始まるのです。

さあ、この機会に、会社の定款を引っ張り出してみましょう!そして、定款の内容を読みなおしてみてください。

4.株式・株主総会に関する定款の定め

皆さんの会社の定款の中には、株式や株主総会に関することは、どのような事がかかれているでしょうか。

まず、発行可能株式総数(昔の「会社が発行する株式の総数」)は必ず記載されているはずですので、会社が株式を何株発行できることになっているのか、把握しておきましょう。

また、定款に何が定められていて、何が定められていないのか、しっかりと確認しておきましょう。

本当は、株式以外のことも重要なんですが、今回は株式や株主総会に関することだけ、整理しておきます。

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特に、譲渡制限株式の規定は、会社の株式が勝手に他者にわたらないようにして、企業支配権を維持するために重要な規定です。詳しいことは次回以降に書きますが、現在この規定がない会社は、ぜひ規定を置くことを検討した方がいいでしょう。

5.今の定款を変更するには

前回の表1にも書きましたが、定款の変更には、議決権を行使できる株主の議決権の過半数が出席する株主総会で、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

また、株式の全部を譲渡制限株式にする定款変更をするには、議決権を行使できる株主の半数以上が出席する株主総会で、議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

そう、結局、定款変更にも、企業支配権の確保に必要な株式数が必要なのです。

「なんだ、それじゃあ、堂々めぐりじゃないか!」

そう思われるのも、もっともです。では、次回、実際に企業支配権の確保はどのようにしていけばいいのか、検討していきましょう。

プロフィール

はるか法律事務所 弁護士 松澤功
[所属・役職]
はるか法律事務所 弁護士
[略歴]
1984年 アメリカ合衆国ワシントン州生まれ
埼玉県出身
慶應義塾大学法学部法律学科卒
日本大学大学院法務研究科卒
現在、
NPO法人東日本事業支援機構
一般社団法人日本経営管理協会
中小企業活性化支援協議会
Lawyers Network for Foreigners
等で活動中
[講演、セミナーなど]
事業者支援法律セミナー(連続)
法律セミナー「弁護士は見た!」シリーズ
[URL]
はるか法律事務所

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