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ISO9001及びISO14001の2015年改正において、企業が取組むべきこと

ISOマネジメント研究所 所長 人見 隆之

第2回ISO9001及びISO14001の具体的な改正内容とその対応のスケジュール

1.附属書SLとは?

前回のコラムで説明致しました、各ISOマネジメント規格の共通テキストとなる附属書SLについて説明致します。附属書SLとは、もともと規格作成者向けのルールブックにある箇所のことをいい、今後、ISOのマネジメント規格を改正又は新規作成する場合は、この附属書SLを必ず使用しなければいけないことになりました。附属書SL は、規格作成者向けの文書ですが、結果的に最終ユーザーが利用するものとなります。簡単にいうと、附属書SLとは、仕組みを作る上での共通部品を示しています。計画(4.組織の状況、5.リーダーシップ、6.計画、7.支援)、実施(8.運用)、検証(9.パフォーマンス評価)、改善(10.改善)という仕組みの基本構造を示すものです。具体的な附属書SLの構成は、図3に示します。

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2.追加された新たな要求事項

2014年7月現在、ISO9001及びISO14001は、DIS版(国際規格原案)のなので、正式発行に至るまで要求事項が変わる可能性があります。しかし、大きな部分、つまり附属書SLを考慮した部分は、変更がありませんので、主にそれに関連して、新しく追加された要求事項について説明致します。

(1)組織及びその状況の理解
ISOの仕組みを単に認証のため、審査のために構築するのではなく、自社のために構築することを要求しています。具体的には、組織の目的及び戦略を明らかにした上で、それらに影響がある組織の外部及び内部の課題を明確化することが求められています。組織の外部課題は、企業が直接コントロールできないようなものを考えて、たとえば、変化する法規制等への対応、マーケットの変化などを考えることです。内部課題は、企業がコントロール又は影響を及ぼせることを考えて、たとえば、外部業者の適切な委託、従業員への教育というものを考えることです。これらの外部及び内部課題を認識して、どのように、ISOという仕組みと関連付け、どう対応するのか決めること、これがまず始めに問われるということです。
(2)リスク及び機会への取組み
会社としてのリスクに対する取組み方法を決めることを要求しています。現行規格では、発生の未然防止を考えて、その対応計画を定めるという予防処置があり、これに対応しているともいえますが、2015年版では、自らの組織環境におけるリスク、つまり、より広い観点でリスクを考えることが要求されています。たとえば、自らの組織環境におけるリスクとは、戦略リスクとして、市場ニーズの変化や法令改正など、オペレーショナルリスクとして、欠陥商品・製品の回収のリスク、環境規制違反などが考えられます。これらリスクの取組みの方向づけを明らかにすることが必要です。
(3)パフォーマンス評価の重視
現行規格のISO14001には、環境パフォーマンスという監視・測定項目がありますが、2015年版では、「箇条9パフォーマンス評価」という大きな項目となって、さらに重要視されました。具体的な要求事項としては、品質又は環境パフォーマンスの評価を行うことを要求していますが、これは、組織が実施した結果に対して、その出来映えや効果を評価するということがより明確化された要求事項となりました。

3.いつまでに対応したらよいのか?

IAF(国際認定フォーラム)の決議によると、ISOが発行されて3年以内に対応することとされています。まだ、正式に発行されていないので、あくまでも予定の段階なのですが、ISO9001であれば、2018年の8月までに、ISO14001であれば、2018年の5月か6月までに対応が必要となります。まだ間があると思っていても、IAF(国際認定フォーラム)では、審査機関はできるだけ早く移行に取りかかるように、顧客を促すことが望ましいとしているので、ISOが発行後、なるべく早い時期に対応が必要です。

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プロフィール

ISOマネジメント研究所 所長 人見 隆之
[所属・役職]
ISOマネジメント研究所 所長
[略歴]
中央大学法学部卒業。マーケティングリサーチ会社やIT企業などを経て、2001年9月に独立し、中堅・中小企業の経営の仕組み構築を支援するISOマネジメント研究所を設立。ISOコンサルティングサービスに特化し、製造業、印刷業、IT、介護施設、物流業など、様々な業界を支援し、支援企業は300社以上。気軽に、気安く、わかりやすくをモットーに、約8割の企業が継続契約している。
[著書・訳書など]
『「自分から教わる!」技術』日本実業出版社
『納税通信』エヌピー通信社:コラム掲載
[URL]
ISOマネジメント研究所

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