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Credo Strategy~2025年のマネジメント新戦略~

日本クレド株式会社 代表 吉田誠一郎

第1回Credo Companyに4R(顧客、人材、商品、資金)が集まる

1. はじめに

Credo(クレド)はラテン語で「信条」を意味する。企業理念や価値観を従業員が共有するためのマネジメントツールとして使われるようになって久しい。その効果はチェンジマネジメントを迅速に実現させ、従業員エンゲージメントを生み出し、業績アップ、CS/ES向上、コミュニケーション能力、コーポレートガバナンスや倫理観の醸成にメリットを創出して脚光を浴びている。しかしCredo Strategyの本質を深く追求せずに導入し、マネジメントにイノベーションを起こすことができず、残念ながら成果を挙げられない企業は少なくない。本コラムでは4回に渡りCredo Strategy導入のメリット、推進成功のポイントを解説する。

* 本コラムでは言葉の解りにくさを排除するため企業理念の様々な呼称であるVision Mission Core Value WAY Corporate Philosophy 社是社訓...などを「企業理念」という言葉で総称する。「Credo」は企業理念の共有を支える価値基準、行動指針とする

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2. Credo Strategy のマネジメントメリット

昨年のことであるが「食品表示問題」がメディアで取り沙汰された。多くの飲食店やホテルで、メニュー表示していたブランド食材より仕入れ値の安い食材を実際には使いながら、表示はそのままにしていたという問題である。長くCredo Strategyを実践するあるホテルチェーンでもその問題が起こった。私たち日本クレドには各方面から、Credoを実践しているのに何故なのか?倫理観はCredoでは醸成できないのか?などの問い合わせが寄せられた。そこで私たちは、問題発覚からしばらくたった頃、実際の状況把握、その後の取り組みについてマネジメントトップに直接会い確認をした。その中にCredoを考えるうえで重要な事実があったので解説する。

当時そのホテルチェーンには数千件に及ぶクレームが顧客から届き、対応に追われていた。しかし驚いたことに肝心の売上や客数はほとんど減少していない、というのだ。高いブランドに裏切られたと感じ、怒った顧客は予約をキャンセルし、客足が戻るのはしばらく先のことになると考えるのが一般的だ。しかしこの事態でも、それが起きなかった理由は何故なのか。実はこれがCredo Strategyをマネジメントに積み重ねた企業の強みとも言えるのだ。その理由を彼らのステークホルダー(利害関係者)を確認することから検証していきたい。

3. ステークホルダーの確認

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第1は顧客である。普段から顧客価値を高めることをCredoの価値観にし、誠実に顧客と向き合おうとする企業では、顧客から寄せられる信頼や期待は大きい。だからこの種の問題が発生した時も「失望」よりも「復活」への期待の方が上回るのだ。復活を遂げ、さらなる高みを目指すことを期待するサポーターに顧客が"なる"のである。決して故意ではなく失敗が起きるのは致し方ないこともあるのだが、多くの企業は誠実を欠き失敗をしたときの再発防止アクションが鈍い。だからせっかく築いた信頼をいつまでも取り戻せずブランド失墜から立ち上がれないのだ。

第2は従業員である。従業員は普段から所属組織のブランドの一翼を担っている、とCredoを基に教育されている。彼らは共に働く仲間を信頼し、尊重し、組織の成功のために自ら考えて動く。Credoを通して企業エンゲージメント(愛着心)を高めている。しかし従来型の「会社人間」として盲従している訳ではない。組織に貢献するプロフェッショナルとしての冷静な視点も失ってはいない。彼らはこの組織で学び、成長することに貪欲でもある。今回の様な事態が発生したときにも、後ろ向きにならず組織のために貢献し一致団結する気概を持っている。

第3は取引事業者。食材の納品に関わった彼らは問題が発生するとすぐに自分たち側の原因分析を始めた。自分たちの責任で納入先であるこのホテルチェーンのブランドに傷をつけてしまったというパートナー意識が芽生えているのだ。それは常日頃、Credoを基に自分たちは「上下関係のない共に発展成長するパートナー」であることを表明されているからに他ならない。

このように様々なステークホルダーがこの危機を救い、再建への迅速な力になったことがわかる。いうなれば従業員を含め企業に関わるすべての人々がwin-winの関係を構築し、関わるステークホルダー全体が幸福となり勝利するためのツールがCredoなのである。そのような組織だからこそ高いレベルの顧客、人材、商品というリソースが集まり組織力を高めていく。昨今はそんな企業に投資をするファンドも誕生している。その意味ではこれら4つのManagement Resourceが集まることで強い組織を構築していくのがCredo companyの特徴と言える。では、そのCredoとは一体何なのか?次回に解説を譲ることとする。

プロフィール

日本クレド株式会社 代表取締役 吉田誠一郎
[所属・役職]
日本クレド株式会社 代表取締役
[略歴]
企業理念、コーポレートブランディング開発を主たる業務とするコンサルティング会社代表。福岡県出身。明治学院大学卒業。2004年日本クレド株式会社設立。
[著書]
「クレドが考えて動く社員をつくる(日本実業出版)」など
[URL]
http://j-credo.com/

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