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Credo Strategy~2025年のマネジメント新戦略~

日本クレド株式会社 代表 吉田誠一郎

第4回2025年...デジタル新時代の働き方とCredo Strategy

1. 2025年のCredoとは

2025年、いまから約10年後の私たちの働き方はどのように変化しているのだろうか。最終回は「これからのCredo」に注目し、企業理念やCredo Strategyを基にした新しいマネジメントの在り方を提案してみたい。

いま、従来型とは違う勤務形態や人材活用に取り組む企業が増えてきているが、果たして10年後を見定めた取組みはできているのだろうか?10年後といえば、2000年前後生まれの世代が社会で活躍する。(いわゆるジェネレーション「Y」や「Z」だ。)そしてバブル世代が企業の第一線から引退をする時代でもある。要するに、いま私たちがイメージする組織の定義は一掃され、まったく新しい価値観をもった従業員が仕事をするようになることを想像し、備えなければならない。これまで成功してきた価値観を一度、覆す作業をしなければならないのである。その中で、私たちのCredoにはどんなファクターが新たに必要となるのだろうか。

2. これからのCredoとは

これまでの3回のコラムの文中に、私はCredoに関する大切な6つのキーワードを散りばめてきた。「幸福」「信頼」「共感」「社会」「学び」「成長」である。

これらのキーワードは2025年に向けたCredoを考える際に不可欠であり、且つ、これらに従ってマネジメントを進化させる必要があることを示唆している。では企業からの視点と働く個人の視点で、これら6つのキーワードにおけるCredoの在り方を探ってみたい。

■企業が必要とする視点

企業が成長するためには、ステークホルダーを自社の味方につけ、共に発展していくという姿勢を強めなければならない。そのためには前回(第3回)のコラムでも述べているように、自社とステークホルダーとの間に「Visionary Exchange(理念の共感)」をすることが質の高い仕事を展開するうえで、大切になってきている。優秀な人材、優秀な取引事業者、そしてそこから生み出される質の高い仕事に共感し、購入を決める顧客。つまり、自分たちの考え方に共感する人々を自社の周りに集める必要がある。

だからCredoにはいま以上に社会性を持たせ、広くアピールするツールとして活用する必要があるのだ。Credoもしくは自社の企業理念を改めて見てほしい。多くは顧客をはじめステークホルダーへの価値の提供を文章化しているだろう。その文章の、順番が鍵になるので注目していただきたい。恐らく、ステークホルダーの順番は「顧客」「従業員」「取引事業者」「社会」「株主や家族」という流れであろう。企業経営で「顧客」を最も重要なステークホルダーと位置づけるのは当然頷けるし、文章化する際も最上位に掲載することは否定しない。しかし敢えていうならば、これからのCredoに掲げるステークホルダーの優先順位は、1番に「社会」もっと言うならば「世界」に対しての価値を創造する姿勢を示す必要がある。これまでの企業理念やCredoは「顧客」が最優先という例がほとんどであったが、2025年を見据えたいま、もうそれではいけない。世界や社会をより良く変えていくことをどれだけ考え、行動している企業なのかをステークホルダーは冷静に見ている。本業を通じて社会に対してどのような貢献をし信頼を得る努力をするのかについて明言することが重要となる。

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当然、取引事業者への説明でもそれは必要である。費用面や有利な取引条件の比較だけで取引事業者を決定してはならないし、製品やサービスに高い自信や先進的な想いを持つ取引事業者はそのような関係を望まなくなる時代になるのだ。

そして「社会」への価値提供を宣言した後、2番目に「顧客」への姿勢を示すという順番となるべきだ。この顧客についてはCS(顧客満足)を基軸に文章を構築している例がほとんどであるし、それは正しい。しかし、重視すべきことが変わってきているので示しておきたい。それは「自社の顧客を"幸福"にしていけるか」というポイントの有無である。幸福の定義は満足とは異なる。幸福とは自らが創造して得られる喜びを意味する。一方の満足とは他から与えられたことによる喜びである。つまりCS(顧客満足)は自社からの独り善がりの一方通行なアクションになっていないか?と改めて見直し、これからは顧客にも主体的に関わってもらい、双方向で喜びを実感できる商品やサービスを開発していかなければいけない、と考えるべきなのだ。

以下、従業員や取引事業者については第3回のコラムで記したとおり、共に学び、成長して行く関係であることを打ち出す必要がある。そしてそれら「社会」「顧客」「従業員」「取引事業者」の価値を向上させた結果として、自社の「株主」の価値を高められる、というロジックを描いていく必要がある。

■個人が必要とする視点

では次に、個人の視点で見るとどうか?個人はさらに多様なポジションで、企業と関わり始める。これまで同様に従業員として企業に雇用される個人もいる。またそれとは異なり企業と直接アライアンスを組んでプロジェクトに参画するような個人もこれからは多く現れてくる。グローバルの視点で見ると、すでに多くの国々で、後者のような国外から参画してくる人材を上手に取り込んでいる企業は増えている。いまの日本のように、そんなことはもっと先の話だ、で過ごせないのが2025年なのである。

だからデジタル新時代と言われる2025年には、個人はいま以上に「自分ブランド(私たちはMy Credoと呼ぶ)」を明確にする必要がある。もちろん契約金や給料の多寡は仕事をするうえで大きなウェイトを占めることには変わりない。しかし企業の価値観に「共感」し、自分の力を「発揮」し、世界や日本社会に貢献したいという欲求をこれからのジェネレーションは持ち合わせている。まさに"企業と個人との間でVisionary Exchange"が行われビジネスが展開されていくのだ。繰り返すが、企業も個人も価値観を持ち、明確に打ち出すことが強く求められることとなる。

3. Visionary Worldの到来

このように私は理念に共感してすべてが繋がるVisionary Worldが実現する時代が来ると考えている。誰もが思い描くことが難しい2025年デジタル新時代。その局面に、企業や個人はどう価値を提供していくことができるのか、ぜひ考えるきっかけにしていただきたい。

プロフィール

日本クレド株式会社 代表取締役 吉田誠一郎
[所属・役職]
日本クレド株式会社 代表取締役
[略歴]
企業理念、コーポレートブランディング開発を主たる業務とするコンサルティング会社代表。福岡県出身。明治学院大学卒業。2004年日本クレド株式会社設立。
[著書]
「クレドが考えて動く社員をつくる(日本実業出版)」など
[URL]
http://j-credo.com/

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