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中学生で起業した20代IT経営者が明かす
「初めてでも安心の中堅・中小企業「IT導入・運用」入門」

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔

第4回中堅・中小企業がまず始めるべき「IT導入・運用」とは

1. ハードディスクが壊れてからでは、もう遅い

今日中に取引先に出しておきたい見積書。そんな時に限って、パソコンが壊れてしまい電源ボタンを押してもうんともすんとも言わない状況に。この様な経験をされた方。決して少なくないはずです。私のところにも「小島さん、突然従業員のパソコンが壊れてしまってお手上げなんだ。なんとかならないか。」と。この様な困り果てた連絡は1度や2度ではありません。例えば、パソコンが壊れただけであれば、中に入っているデータを取り出すことは難しくありません。しかし、ハードディスクが壊れてしまっていたら解析を専門とする会社に依頼する必要があります。この時の金額は数十万円を超えてしまうことも。

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ほとんどの方は、故障する前にバックアップを取っておけば良かったと後悔をしているはずです。しかし残念ながら、その頃には既に手遅れです。データを復旧させる為には、高い金額でデータを復旧させるという選択肢しか残されていない状況なのです。前回は、実際に問題が起きた場合に「事後対策」が重要であるということに触れました。しかし、実際のケースでは「事後対策」には金銭的、時間的にも大きな損失が発生してしまうことは間違いありません。いずれの場合も「事前対策」を怠っていいという理由にはならないのです。

2. ハードディスクが壊れる前に、どんなことをすべきだったのか

それでは「事前対策」として、どのようなことをすべきだったのかを見ていきましょう。上記のケースは皆さんが感じられていたように「バックアップを取っていなかった」ことが最大の問題です。しかし、ここで第2回の「みじかのルール」を思い出してください。「バックアップを取っていなかった」ことは「み:みんなの(自社の)パソコンのこと」に部分に当たる問題であり、仮に全社的に「バックアップは小まめに取るようにしよう」と通達を出したとしても、根本的な問題が解決されたわけではありません。

つまり「みじかのルール」の「じ:自動化していくこと」を合わせて考えなくてはならず、正確に言えば「バックアップが自動的に取られる」まで考えることが「事前対策」として有効的なのです。では、どの様な対策を講じることが出来るのでしょうか。例えば、以下のような対策が考えられるでしょう。

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昨今のオンラインストレージには、パソコンの指定されたデータとオンラインストレージが同期するようなタイプが多くあります。また昨今ファイルサーバーは、高価なサーバー機を導入しなくとも外付けハードディスクでもデータが共有可能なタイプが多くあります。この様に何か高そう・・・難しそう・・・と思っていたことは、選択肢によっては実はハードルが低いということはお分かりいただけるのではないかと思います。しかし、ここでもう一歩。ここで忘れてはならないのでは、仕組みを利用させるという「か:可視化していくこと」ということです。

3. 可視化をして導入したシステムを運用しよう

先ほどの対策の例では「ショートカットを作る」と記載しています。これは、なぜでしょうか。それは、ショートカットを作ることでユーザーが少しでも利用しやすい工夫をしたということです。システムは導入後にいかに運用をするかという所が大切です。そこを無視した場合にはシステムが形骸化してしまい使われないシステムになってしまいます。先ほどの対策の例を取ると自動化を突き詰めれば「従業員がデータを移動させる作業を全く意識しない環境」を実現するとします。この場合は、全体のバックアップを取る工夫、各パソコンにデータを残さない工夫などを考える必要があります。これは、読者の方の中にはお気づきの方もいるでしょう。想像通り投資コストが大きなものになってくるのです。

何十万件に渡る顧客名簿や非常に機密性の高いデータを取り扱っている業務であれば、費用対効果としてシステムの投資コストが大きくなったとしても検討する必要が出てきます。しかし、そこまで投資コストを高めた場合でも、システムの可視化は必ず必要になります。先ほどの対策の例を取ると、用意したショートカットからアクセスしたフォルダにデータを移してくれれば、きちんとバックアップが取られるから安心だよ。というメリットを全社的に共有するということが大切です。なぜなら、敢えてデメリットになる行動をとったとしても、問題が起きた際に自分にとって不利益になるとイメージすることが出来るからです。

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4. 中堅・中小企業がまず始めるべき「IT導入・運用」とは

「データのバックアップは取ろう!」と発信するだけで、実質的には自助努力で何とかしろ!とするのではなく、リスクを分析し考えられるリスクを低減させるため、ITを簡素化して導入する。そして、その内容を全社的に発信し、共有が出来ている中堅・中小企業は、私の見てきた企業でも「IT導入・運用」が有効に企業経営に寄与していると感じます。

もちろん社内にIT担当者を置くことも有効な選択肢です。しかし現実には、IT担当者は総務・管理系との兼任業務であることも多いのではないでしょうか。兼任業務として担当しているIT担当者からすれば、現在の問題の対応に追われることが限界であり、先ほどのお話にあるようなことを対応する余裕はありません。しかし、私が見てきた企業の中には専任のIT担当者を置くわけではなく「IT導入・運用」が有効に企業経営に寄与している企業もあるのです。それはITに関しての良き相談相手がいるケースがほとんどです。実際に問題が起きてから頼るだけでなく、何も起こっていない時だからこそ「IT導入・運用」について考えることが成功する鍵だと確信しています。

5. 今回の連載によせて

中堅・中小企業の「IT導入・運用」は、俗人的にシステムを導入してきた面が多く、課題に直面する以前に自分がどの立ち位置にいるのか分からないという問題があります。しかし、事業を成長させる上では俗人的な部分を共通化する作業はとても大切なポイントであり、その無駄を省き成長のエンジンに繋げることも「IT導入・運用」を考える上では大切なポイントでもあると思います。そんな想いを胸に、今回の連載は執筆させて頂きました。いかがでしたでしょうか。

今回の連載を読み「うちもやるぞ!」と思ったあなた。今すぐ出来ます。IT担当者で日々お悩みのあなたはもちろんのこと、IT導入・運用って大切な気がするけど、よく分からないという社長のあなたに。あなたも「IT導入・運用」を一緒に取り組みましょう!最後までお付き合い頂きまして誠に有難う御座いました。

最後に。
もし疑問や相談があれば、ぜひお話をお聞かせ頂けると嬉しいです。
私、小島が出来る限りあなたの疑問や相談にお答えさせて頂きます。

プロフィール

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔
[所属・役職]
合資会社サクラシティ 代表
技術経営修士(MOT:Management of Technology)
[略歴]
1985年11月、東京都(北千住)生まれ。2010年芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科修士課程修了。父親の影響を受け幼い頃よりパソコンに夢中になる。とりわけインターネット黎明期だった時代にICQやBBS、チャットに触れたことで、インターネットがもつコミュニケーションの可能性に魅せられる。1998年、中学校入学と同時期にインターネットを使った現在でいうSOHOやノマドのような活動を開始。2003年、高校在学中に合資会社サクラシティ設立。代表に就任。以降、大学院修了まで学生起業家として活動。現在は「知りたいを満たす」を経営理念とした、インターネット黎明期よりインターネットを活用したビジネスで培ってきたIT経営戦略コンサルティングを実施。中堅・中小企業事業者の実情を理解し、大規模プロジェクトへの従事経験を経た独自メソッドで事業規模問わずITを本気で取り組む経営者より絶大な信頼を得ている。
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