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商標法(トレードマーク)の最前線!

駒澤綜合法律事務所 弁護士 松澤功

第4回色彩や音なども商標登録が可能に!

1.平成26年の法改正

消費者やクライアントは、表示されている商標を知覚して、その商標から商品やサービスを連想します。

この人の知覚は、一般的に「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」の五感に分類されています。ですから、商標についても、本来、工夫してこれらの五感のそれぞれに訴えるような商標を作ることができるはずです。

しかし、今まで、商標法上の商標として保護の対象となっていたのは、「視覚」のうち、文字、図形、記号、立体的形状、これらが結合したものと、これらと色彩とが結合したものに限定されていました。

平成26年の法改正で、この商標の保護の対象が、下記の商標にまで広がることになりました。

この改正は、平成27年4月1日から効力が発生することが決まっています。

2.色彩の商標

まず、今回の法改正によって、「視覚」のうち「色彩」も、商標の内容になりました。

色彩については、文字、図形などと合わさっている商標は、前から保護の対象となっていました。今回の改正は、色彩自体(輪郭のない色彩)も商標登録できて保護されるようになったというところがポイントになります。

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3.音の商標

また、「視覚」の他にも、「聴覚」の商標、すなわち音の商標も、今回の法改正で保護の対象になりました。商品名や会社名などと組み合わせて登録することもできます。

この音の商標の登録を出願するときには、楽譜や文章などで音を表現するとともに、音声データを提出する必要があります。

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4.位置商標

下の図を見てください。

images_14.jpg

上の図を見ると、左の赤い玉と顔の図形は、それぞれ単独では何か特定のイメージを抱かせるものではありませんが、赤い玉が鼻の部分に位置することで、ピエロ(クラウン)として認識できるようになるわけです。

このような発想と同様に、図形などの組み合わせ方法のバリエーションとして、特定の図形などを特定の位置に配置した商標を、そのブランドを表す商標とすることが認められました。

「このブランドの商品は、この部分がこの色をしている」「このブランドの商品は、この部分にこの形状の物がついている」などというブランド作りのときに有用な商標です。

5.図形などが変化する商標

また、今までは、商標として登録できるものは文字や図形などが動かないものに限られていましたが、今回の改正で、それらが変化するものも、登録できるようになりました。

これにより、「動きの商標」や「ホログラムの商標」も、登録できることになりました。

6.登録できる商標のまとめ

まとめると、平成27年4月1日から登録できる商標は、次の通りとなります。

images_15.jpg

7.今後の動向

今回の改正では、匂い、触感、味などの商標については、権利範囲の特定が困難などの理由から、保護対象に追加することが見送られました。

もっとも、改正法には、保護の対象となる商標として「その他政令で定めるもの」という定めがあります。保護の対象を広げる内容を、ある程度政府に任せているのです。

そして、政府の委員会では、匂い、触感、味等の商標についてその報告書内で「適切な制度運用が定まった段階で保護対象に追加できるよう、当小委員会において併せて検討を進めていくことが適当である。」として、必要に応じて、政令によって保護の対象にしていくことを検討していくことにしています。

これらの商標については、クリアすべきハードルが多くあります(例えばEUでは、「匂い」の商標について法令上は登録が可能ですが、登録要件の解釈についての判決の影響で、登録がことごとく拒絶されるようになってしまっています。)。

また、商標制度自体についても、いろいろな課題が残っていますので、今後どうなっていくのか、注目です。

プロフィール

駒澤綜合法律事務所 弁護士 松澤功
[所属・役職]
駒澤綜合法律事務所 弁護士
[略歴]
1984年 アメリカ合衆国ワシントン州生まれ
埼玉県出身
慶應義塾大学法学部法律学科卒
日本大学大学院法務研究科卒
はるか法律事務所(埼玉県さいたま市)を経て、現事務所に入所
現在、
NPO法人東日本事業支援機構
一般社団法人日本経営管理協会
中小企業活性化支援協議会
Lawyers Network for Foreigners
等で活動中
[講演、セミナーなど]
事業者支援法律セミナー(連続)
法律セミナー「弁護士は見た!」シリーズ
[URL]
駒澤綜合法律事務所

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