NIKKEI

トップ>企業マネジメント最新トレンド>中堅・中小企業がマイナンバー制度において取り組むべきこと

中堅・中小企業がマイナンバー制度において取り組むべきこと

おかもと社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士 岡本道大

第3回マイナンバー制度で必ず行わなければならない2つの措置とは?

1. 2つの措置

前回コラムで、マイナンバーにおける3つの制限を説明しました。今回は、マイナンバーを取り扱う上で、事業者が必ず行わなければならない2つの措置について説明します。「本人確認の措置」と「安全管理の措置」です。以下、順に説明します。

2. 本人確認の措置

会社は、税や社会保障関係の事務を行うために、本人等からマイナンバーの提供を受けることになりますが、その際に、会社は必ず本人確認をしなければなりません。いわゆる「成りすまし」を防ぐためにも厳格な本人確認が求められます。

本人確認では、2つのことを確認することになります。一つは、正しい番号であることの確認、つまり「番号確認」です。もう一つは、正しい番号の持ち主であることの確認、つまり「身元確認」です。以上の2つの確認がワンセットになって「本人確認」となります。

images_13.jpg

番号確認と身元確認のための確認書類については、番号法施行規則等により定められています。顔写真入りの「個人番号カード」であれば、個人番号カード1枚で番号確認と身元確認の両方を確認できます。紙製の「通知カード」や「マイナンバー付きの住民票」により番号確認する場合は、「運転免許証」や「パスポート」等による身元確認でワンセットの本人確認となります。

images_14.jpg

また、従業員の扶養親族のマイナンバーの記載が必要な書類があります。例えば「扶養控除等申告書」「国民年金第3号被保険者関係届」等ですが、書類により対応方法が異なりますので注意が必要です。

「扶養控除等申告書」については、会社への提出義務者は従業員で、その扶養親族のマイナンバーの本人確認も従業員が行うことになりますので、会社は扶養親族の本人確認を行う必要はなく、従業員についての本人確認を行えばよいことになります。

これに対し、「国民年金第3号被保険者関係届」については、会社への提出義務者は扶養親族であることから、会社が扶養親族の本人確認をする必要があります。しかしながら、会社が扶養親族に直接本人確認するのは大変ですので、実務上は、扶養親族の代理人として従業員がマイナンバーを会社に提出する方法があります。この方法の場合、会社は「代理権確認」「代理人の身元確認」「本人の番号確認」の3つの確認が必要になります。

images_15.jpg

このあたりは混乱しがちな点ですので、事務担当者が十分理解した上で、対象の従業員に説明する必要があります。

3. 安全管理の措置

マイナンバーは非常に重要な個人情報ですので、漏えい・滅失・毀損等の防止、その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じる義務があります。番号法により、全ての事業者は、マイナンバーについて安全管理措置を講ずることとされています。担当者任せではなく、会社として取り組む必要があります。安全管理措置の検討手順は、次の流れになります。

images_16.jpg

images_17.jpg

安全管理措置について、特定個人情報保護委員会が公表しているガイドライン「(別添)特定個人情報に関する安全管理措置」に具体的な手法が例示されていますので、ご確認下さい。尚、中小規模事業者(定義は以下参照)に対しては、実務への影響に配慮し、同ガイドラインにて特例的な対応方法が設けられています。

images_18.jpg

また個人番号関係事務の全部または一部を外部に委託する場合もあるでしょう。その場合、委託者は、「委託を受けた者」において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう「必要かつ適切な監督」を行わなければなりません。「必要かつ適切な監督」には、以下の3つが含まれます。

images_19.jpg

なお、「委託を受けた者」を適切に監督するために必要な措置を講じず、又は、必要かつ十分な監督義務を果たすための具体的な対応をとらなかった結果、特定個人情報の漏えい等が発生した場合、番号法違反と判断される可能性がありますので、ご注意下さい。

また、「委託を受けた者」は、最初の委託者の許諾を得た場合に限り、再委託をすることができます。その場合、会社は直接の委託先だけでなく、再委託先・再々委託先等に対しても間接的に監督義務を負うことになります。

images_20.jpg

プロフィール

おかもと社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士 岡本道大
[所属・役職]
おかもと社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士
[略歴]
大学卒業後、板ガラスメーカーに16年間勤務し、営業、総務、人事に従事する。
サラリーマン時代の経験から「中小企業の役に立ちたい」という志を持ち、2008年9月、社会保険労務士として独立開業。
2011年、紛争解決手続代理業務等の業務拡充のため特定社会保険労務士を付記。

人事労務の専門家としての知識と、前職での経験を生かし、各企業の状況に応じた人事労務アドバイス、採用支援、人材育成、助成金支援、労働社会保険業務など、中小企業の支援を行っている。また、労働基準法研修、助成金セミナー、コンピテンシー研修、ワークライフバランス研修等の講師も行う。
[URL]
おかもと社会保険労務士事務所

[バックナンバー]中堅・中小企業がマイナンバー制度において取り組むべきこと

企業マネジメント最新トレンド 一覧へ

日経産業新聞 ビジネス動画 動画で見る、話題の新製品・先端技術 詳しくはこちら

日本大学 通信教育部

月間アクセスランキング

  1. 企業マネジメント最新トレンド
    グローバルに対応しうる事業戦略とは
  2. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の具体的な改正内容とその対応のスケジュール
  3. 企業マネジメント最新トレンド
    正しい売上・利益計画の立て方
  4. 企業マネジメント最新トレンド
    企業価値とは何か。経営にどう影響するのか
  5. 企業マネジメント最新トレンド
    ISO9001及びISO14001の2015年改正における具体的な取組み方法

経営喝!力 ビジネスIT活用index