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中学生で起業した20代IT経営者が明かす
中堅・中小企業が抑えておきたいウェブの「今」

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔

第1回ウェブの世界では「今」なにが起こっているのか

1.中小企業によるアウトソーシングの活用

潤沢な社内リソースを持つことが難しい中小企業では、アウトソーシングの活用が経営戦略上のポイントとなります。たとえば、IT部門を持たない中小企業は少なくありません。IT部門に詳しい人材が自社内に不足していたり、予算を確保するほどの経済的余裕がないことなど、様々な要因が考えられます。しかしIT部門をおろそかにすることはできません。

IT経営戦略の重要性を理解する経営者であれば、アウトソーシングを積極的に活用してIT分野への対応を図るでしょう。そうすれば、自社人材を雇用しなくても専門企業のノウハウを借りることができます。サーバーの保守・運用やホームページの管理運営、ウェブ戦略の立案などを専門の外部企業へ委託してしまうことがアウトソーシングの一例となります。

2.新しいアウトソーシングの形

そして今、インターネットの世界で新たに注目されている仕組みがあります。それがクラウドソーシングです。クラウドソーシングとはインターネットを介して「不特定多数の登録者」に発注できる仕組みのことで、委託先の選定から発注、納品までをネット上で完結させることができます。

主なサービスに、日本市場の先駆者である「ランサーズ」や、2014年にマザーズ上場を果たした「クラウドワークス」などがあります。矢野経済研究所の調査によると、2012年度には106億円程度だったクラウドソーシング市場の規模は、2017年度には一気に1473.8億円にまで拡大すると予測されています。

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3.クラウドソーシングが中小企業に与えるインパクト

それでは、このクラウドソーシングは中小企業経営にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。発注者として考えた場合には「コスト削減」という大きなメリットがあります。クラウドソーシングでは登録者の中から入札者を募りその中から委託先を決定することができるので、一般的な随意契約と比べて報酬単価を低く抑えることができます。クラウドソーシングサービスの会員には、フリーランスのウェブデザイナーやライター、サーバー・システム開発者が多くいますので、クラウドソーシング上でITに関わる仕事を全てまかなうことも可能となります。実際に、ホームページの更新や運用、サイトデザインの制作などを発注する例が多く見受けられます。さらに、ウェブマーケティングの戦略立案者を募集するプロジェクトなど、その範囲は多岐に渡ります。

このような専門技能を持った人たちに対してプロジェクト単位で発注することができるクラウドソーシングは、中小企業経営にとって大きな武器となり得ます。専門人材を常用雇用しなくて済むだけでなく、プロジェクトごとに柔軟な発注を行うことができるからです。 また、空いた時間を使って仕事をしたい専業主婦や退職した高齢者も登録していますので、アイデア次第で幅広く活用することができます。IT分野以外では、経理の記帳業務を発注するプロジェクトや公園のプロモーション企画の募集、新商品のネーミングやキャッチコピーの作成など、実に多様な業務がクラウドソーシングで発注されています。もちろん、発注者としてだけではなく受注者として利用することも可能です。新規顧客を獲得することができます。

4.中小企業がクラウドソーシングを利用する際の注意点

多くの可能性を秘めているクラウドソーシングですが、利用上の注意点もあります。それは、「発注者としてのリテラシー」を持つことです。特にIT分野での発注を中小企業が行うとなると、発注者たる中小企業の担当者はITリテラシーに乏しいことがあります。仕組みそのものについて理解していない場合やインターネットを通じたコミュニケーションに不慣れのままでは、納品やプロジェクトのクオリティー管理が難しくなってしまうのです。

基本的に発注者と受注者は顔をあわせずに、インターネットを介してのやり取りになります。「よくわからないけど発注をした」状態であるとなおさらコミュニケーション不足が露呈し、プロジェクトの進行そのものがままならなくなってしまう恐れがあるのです。
そもそも、顔をあわせることなくインターネットだけで受発注を完結させてしまうことに抵抗があるかもしれません。そのような場合には、無理にクラウドソーシングを利用するのではなく従来型のアウトソーシングを選択することをおすすめします。

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5.上手に活用すれば、中小企業経営の味方になります

インターネットだけで受発注が完結してしまうことは効率的である反面、受注者の顔が見えず、不安を感じることもあるでしょう。プロジェクトを進めるにあたって、受注者としっかりとしたコミュニケーションを取ることは非常に重要です。プロジェクトに関する「契約書」や「秘密保持契約」などを事前に交わすこともひとつの選択肢となります。
次回は最新トピックである「スマホ対応」について取り上げますが、クラウドソーシングを利用して自社メディアの「スマホ対応」を実現することも可能です。概要や特性をよく理解したうえで上手にクラウドソーシングを活用しましょう。

プロフィール

合資会社サクラシティ 代表 小島猛稔
[所属・役職]
合資会社サクラシティ 代表
技術経営修士(MOT:Management of Technology)
[略歴]
1985年11月、東京都(北千住)生まれ。2010年芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科修士課程修了。父親の影響を受け幼い頃よりパソコンに夢中になる。とりわけインターネット黎明期だった時代にICQやBBS、チャットに触れたことで、インターネットがもつコミュニケーションの可能性に魅せられる。1998年、中学校入学と同時期にインターネットを使った現在でいうSOHOやノマドのような活動を開始。2003年、高校在学中に合資会社サクラシティ設立。代表に就任。以降、大学院修了まで学生起業家として活動。現在は「知りたいを満たす」を経営理念とした、インターネット黎明期よりインターネットを活用したビジネスで培ってきたIT経営戦略コンサルティングを実施。中堅・中小企業事業者の実情を理解し、大規模プロジェクトへの従事経験を経た独自メソッドで事業規模問わずITを本気で取り組む経営者より絶大な信頼を得ている。
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