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成果に繋がるタレントマネジメントの進め方

株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO 大野順也

第3回何をタレントとしてマネジメントするのか

1. 何をタレントとしてマネジメントするのか

タレントマネジメントを推進していく上で、何をタレントとして把握し、管理していくのでしょうか。それは、タレントマネジメントを行う目的によって異なりますが、タレントを管理・把握していく上では2つの側面から考えると良いでしょう。ひとつは『ビジネスで必要とされる能力』。もうひとつは『組織や人事上のイベント』です。

『ビジネスで必要とされる能力』

タレントに関する情報として、まず考えられるのが、「ビジネスで必要とされる能力」です。この「ビジネスに必要とされる能力」は、おおむね以下の通り分類されます。

  • (1) 「資質・適性」
  • (2) 「価値観・考え方」
  • (3) 「行動特性」
  • (4) 「スキル」
  • (5) 「知識」「経験」
(1) 「資質・適性」

「資質・適性」は、先天的、また場合によっては幼少期に生まれ育つ環境の中で培われるものといわれています。ビジネスの現場では、「営業に関する資質・適性がある」「ITに関する資質・適性がある」というように、ある分野について、その「資質・適性」があるかどうか等と評価されることがあります。この「資質・適性」は、基本的に先天的に形成されるものであるため、採用段階の見極め時にそれらの情報を収集している場合が多いといえるでしょう。

(2) 「価値観・考え方」

「価値観・考え方」は、幼少期の日常の生活を通して、保護者に褒められたり・叱られたりといったやりとりを繰り返す中で、「これは良い」「あれは悪い」と本人の判断が定まり、一定方向に形作られるものです。「資質・適性」と同様に、採用段階に行われる適性検査などを用いて情報収集されている場合が多いです。この価値観や考え方は、学生から社会人へのステージの変化や、ライフイベント等を通して変化もします。

(3) 「行動特性」

「行動特性」とはコンピテンシーとも呼ばれ、ある目的のためにその人がどのような行動をとる傾向にあるのかを示したものです。優れた業績をあげている人の行動を細分化していけば、業績に直接関連するいくつかの特徴的な行動が見えていきます。それらの"特徴的な行動"を評価項目にし、業績に直結する行動を促している会社もあります。

(4) 「スキル」

スキルには、ヒューマンスキル、テクニカルスキル、コンセプチュアルスキルの3種類があります。対人関係において発揮される能力をヒューマンスキル、ある特定分野の高い知識や技術をテクニカルスキル、物事を構造的に捉え複雑な事象を概念化することにより、物事の本質を把握し、解決する能力をコンセプチュアルスキルと言います。これらのスキルは、会社組織で定期的に行う評価情報や研修等の人材育成の報告書・リポート、また採用時に用いる評価ツール等によって収集している場合が多いです。

(5) 「知識」「経験」

ここまでの(1)~(2)ビジネスで必要とされる能力に加え、タレントを把握する上で重要な情報に「知識」と「経験」があります。「知識」には、ある分野での活動や取り組み等を通して、また免許や資格(及び検定)等の取得を通して得た可視化・言語化して表現できるもの(形式知)と、可視化・言語化して表現できないものの「経験」を通して得た知見(暗黙知)があります。「知 識」「経験」を把握するためには、取得している資格、またこれまでの職歴や異動履歴等の情報が有用です。

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『組織や人事上のイベント』

前述の「ビジネスで必要とされる能力」は、それぞれ「組織や人事上のイベント」から把握することができます。「組織や人事上のイベント」から考えると、採用時・入社時に実施する適性検査に始まり、教育・研修などの育成の場、 上司と共に行う評価、昇降格の履歴、異動や出向等の記録、いくつものタレントに関連する情報へ行きつきます。さらには、履歴書・職務経歴書、入社時の面談情報、研修等の学習履歴、評価リポート等、「組織や人事上のイベント」から考えると、社内には実に豊富な情報があることが分かります。

「ビジネスで必要とされる能力」や「組織や人事上のイベント」に沿って、タレントに関連する情報を把握し、管理することで従業員個々のタレントを明らかにし、タレントマネジメントを推進していく。これらのタレントを把握・管理していく際には3つのポイントがあります。

2. タレント情報を把握・管理する上での3つのポイント

(1) 今ある情報を把握する

ひとつめは、今ある情報をまずは把握することです。タレントを表現する基となる情報を網羅的に把握・管理しようとすれば、網羅的に情報を集めること自体が目的化してしまい、本末転倒になりかねません。そのような事態を避けるためには、タレントマネジメントを行う目的を明確にした後に、今ある情報をまず把握することが賢明といえるでしょう。もし足りない情報が存在するのであれば、目的に沿って優先順位を付け、後に収集する方法を検討し、付加していく方が良いといえます。

(2) タレント情報を一元管理する

2つめは、前述したタレントに関する情報を一元で管理することです。 タレントを表現する情報は、組織や人事上のイベントを通して可視化されています。しかし、この組織や人事上のイベントは、必ずしも人事部門が管轄しているわけではなく、また、その情報の種類(紙、電子情報等)や管理方法も統一されていない場合が少なくありません。タレントを表現する情報として活用をするのであれば、まずそれらを一元管理する必要があるといえるでしょう。

(3) 必要とされる能力の区分を明確に定義する

3つめは、前述のビジネスで必要とされる能力の区分を明確に定義することです。前述のビジネスに必要とされる能力は、それぞれの項目に対する論者や診断ツール、適性検査、評価のための手法などによって、区分の定義がまちまちであると共に、重複している場合も少なくありません。よって、論者の考えによる区分や診断ツール、適性検査、評価のための手法による区分の定義は参考にしつつ、自社におけるタレントマネジメントの目的に沿った運用・活用方法を考えながら、自社における区分を明確に定義すべきといえるでしょう。この区分が明確に定義されていない場合、一般化された既定の区分に振り回されてしまい、収拾がつかなくなることも少なくありません。

プロフィール

株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO 大野順也
[所属・役職]
株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
[略歴]
1974年生まれ。大学卒業後、パソナ(現パソナグループ)に入社。営業を経て、営業推進、営業企画部門を歴任し、同社の関連会社の立ち上げなども手掛ける。後に、トーマツコンサルティング(現デロイト・トーマツコンサルティング)にて、組織・人事戦略コンサルティングに従事。 2006年1月に「アクティブアンドカンパニー」を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
[URL]
株式会社アクティブアンドカンパニー

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