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経営者が知っておきたい法人税の基礎知識

土谷税理士事務所 税理士・行政書士・AFP ・登録政治資金監査人
土谷 正剛

第4回知っておきたい欠損金の繰越と繰戻し制度

最後となりましたが今回は欠損金について説明したいと思います。

1.欠損金とは

会計上は「純損失」や「赤字」と呼ばれるもののことを税務上では「欠損金」と呼んでいます。なぜ呼び方が異なるかというと、第1回でも説明しました通り会計上の利益の考え方と税務上の利益(所得)の考え方が異なるからです。税務上、黒字の場合には所得金額、赤字の場合には欠損金額と呼んでいます。

2.欠損金の繰越控除

欠損金については青色欠損金額の繰越控除という特例があります。繰越控除とは、過年度に発生した欠損金を繰越し将来発生した所得と相殺できる制度です。「青色」とある通り青色申告をしている法人が適用できます。

上記の例ではX1年に400万円の欠損金が発生していますが、翌年に繰越し、X2年に発生した所得500万円と相殺しています。結果として法人税の計算の基礎となる金額は100万円となっています。そのため100万円に対して法人税が課されることになります。

なお、繰越期間については現状9年間となっていますが、平成27年税制改正により平成29年4月1日以後に開始する事業年度から10年間となります。

控除額については資本金が1億円以下の法人であれば繰越欠損金の範囲内で全額繰越すことが可能ですが、1億円を超えるような法人等一定の法人は以下の期間に応じて控除限度額が設けられています。

平成27年4月1日から平成29年3月31日の間に開始する事業年度
・・・繰越控除前所得金額の100分の65

平成29年4月1日以後に開始する事業年度
・・・繰越控除前所得金額の100分の50

資本金1億円超の大法人の場合、先ほどの例でX2年を平成28年3月期と考えた場合、控除限度額は繰越控除前の所得金額が500万円ですので控除限度額は500万円×65/100=325万円となります。よってX1年の欠損金400万円全額控除はできず325万円しか控除できないので繰越控除後の所得は175万円となります。なおここで控除できなかった差額の75万円はX3年以降所得が発生すれば控除限度額の範囲内で控除することができます。

3.欠損金の繰戻還付

欠損金については繰戻還付という特例もあります。繰戻還付は繰越控除と反対に所得が発生した翌事業年度に欠損金が生じた場合に、その欠損金を所得発生事業年度に繰戻して還付を受けられるという制度です。

上記の例ではX1年には500万円の所得が発生しておりますので、500万円×税率の法人税を支払っていますが、翌年X2年に発生した欠損金200万円をX1年に繰戻して200万円に相当する税額の還付を受けることができます。

なお、欠損金の繰戻還付については現在資本金が1億円以下の中小法人や解散した法人などのみにその適用が認められています。

プロフィール

土谷税理士事務所 税理士・行政書士・AFP ・登録政治資金監査人
土谷 正剛
[所属・役職]
土谷税理士事務所 税理士・行政書士・AFP ・登録政治資金監査人
経済産業大臣・金融担当大臣認定 経営革新等支援機関
経済産業省後援ドリームゲート 起業支援アドバイザー
[略歴]
2002年慶應義塾大学法学部を卒業後、税理士法人プライスウォータハウスクーパースを経て2010年より現職。税理士の枠を超えた企業が成長するための各種アドバイスには定評があり、特に起業支援を得意としている。また自らもベンチャー企業の経営を行っている。
[URL]
土谷税理士事務所

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