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「働きかた」とICTが武器となる新・在宅医療ビジネス

インキュベクス株式会社 代表取締役 上村隆幸

第3回正しい「Value」や「Stakeholder」を知ることで業績は大きく改善する

企業が提供すべき「Value(価値)」は笑顔などではない!

企業がお客様に提供する「Value(価値)」を取り違えてしまっている経営者の方を、しばしば見かけます。

たとえば「我が社が提供する価値はみんなの笑顔!」などとおっしゃるケースです。

もちろん、それは間違いです。

従業員の「笑顔」は接客マナーの一部、お客様の「笑顔」は提供すべき価値をしっかり提供した「結果」にすぎません。

ビジネスの6要素を正確に把握することが大事!

「Value」だけではありません。

よくビジネスの主要な要素として、「Stakeholder(ステークホルダー)」「Need(ニーズ)」「Value(価値)」 「Change(変化)」「Solution(ソリューション)」「Context(コンテクスト)」の6つが挙げられますが、経営者の中には1つ1つの要素を正しく捉えていないケースが散見されます。

例えば「Change」を実行する上で、従業員の「考え方」から変えようとする経営者は多いですが、これは間違い。まず変えるのは「働き方」です。

また「Context」などは、単なる「共通認識」や「背景」といった意味で捉えている方が多いようです。

本当の「Context」は、顧客の「Need」にどれだけ応えられるか、という企業の「バケツの量」にたとえることができます。「Need」だけではなく、企業が「Value」や「Change」に対応できる総量が「Context」の意味するところなのです。

ビジネスの6要素

顧客は誰? 「Need」は何? 間違いだらけの経営方針

「Stakeholder」「Need」「Value」についても同様です。

そもそも顧客が「誰」なのかを間違えていると、その顧客の「Need」も、提供する「Value」も、すべて間違えてしまうことになります。

たとえば在宅医療ビジネスにおいては「顧客は利用者(患者)」という既成概念が強いせいか、他の「Stakeholder」に視点が向かないことがよくあります。

他のサービス従事者も「Stakeholder」ですし、特に重要なのは従業員である「看護師」です。「看護師」の満足度を上げることで「稼働率」が上がり、サービスの質が上がって利用者の満足度も上がるのですが、この視点を持っていないと成功が遠のきます。

当然、経営方針も利用者だけを対象としたときとは大きく異なることになります。

訪問看護の「Need」は2つしかない!

当社では訪問看護ステーションの様々な顧客と、それにひもづく「Need」と「Value」を、戦略全体で整理してお伝えしています。

具体的には実際の成功事例に基づき、代表的な2パターン+1パターンの対象顧客とその顧客に対する戦略をピックアップして提供しています。

1つ目のパターンは、「マーケットニーズ対応」の戦略です。

この戦略は、早期の収益確保を希望する訪問看護ステーションにお勧めしているもので、開業後間もないステーションから実行に移すことが可能な戦略です。初期から利益の拡大を目指すことができる一方、個性が発揮しにくく、制度変更などに影響を強く受ける傾向があります。

2つ目のパターンは、「医療連携重視」の戦略です。

この戦略は、地域の医療介護の中心となって活躍したいステーションにお勧めの戦略です。隠れたニーズも含めた地域内の医療機関などの様々なニー ズに対応し、他社に真似のできない展開を目指せる一方、一朝一夕には実現できない戦略であり、ある程度成長しているステーションである必要があります。

そして3つ目のパターンは、上記2パターンに比べて活用機会が少なくなりますが「従業員満足度(ES)向上」の戦略です。

これはより地域に密着した運営展開を目指すステーション向けの戦略です。スタッフに働きやすさを提供することで従業員満足度を向上させ、それによって顧客満足度を高めるという戦略です。

「ケアーズ訪問看護ステーション」3つの戦略類型

この2+1の戦略パターンには、それぞれその戦略による成功経験者がいます。

これらの実際に成功を体験している経営者から直接その成功プロセスを聞くことが可能な「学びの場」として、当社では PBL(Project-Based Learning 課題解決型学習)形式の「人・サービスづくり サービスアーキテクトコース」を開講しているのです。

いかがでしょう。あなたはこれら6つの要素を的確に把握し、正しい経営戦略を描けているでしょうか。

ぜひ、もう一度。御社の経営戦略を見直し、正確にこれら6つの要素がかみ合っているかを確認してみてください。

それでは次回もお楽しみに。

プロフィール

株式会社インキュベクス 代表取締役 上村隆幸
[所属・役職]
株式会社インキュベクス 代表取締役
[略歴]
1965年神奈川県横浜市生まれ、産業技術大学院大学在籍。
この3年で500箇所以上の「訪問看護ステーション」の開業・運営業支援を手掛けており、こうしたビジネスの研究、開発、拡張を通じて、超高齢社会における幸福な将来ビジョンを描くことを目指している。

1998年、起業コンサルタント業を開始し、以来2500社を超える起業支援を手がける。日本の医療が在宅へと大きく変化することに従い、「子供からお年寄りまで」すべての生活者が安心と幸福を実感できる地域社会づくりの必要性から、「訪問看護ステーション開業運営支援」を開始。その支援先は民間企業から介護事業者まで全国500社以上に広がる。また「年金の範囲内でも安心して住まえ、良質な生活を実現する医療介護サービス提供と空間づくり」も全国で支援する。
著書に「営業マンよ出かけるな!」(出版文化社)、連載に「新極真空手に学ぶリーダーシップ」(『月刊人材ビジネス』オピニオン)、「地域を支え未来を切り拓くチェンジ戦略」(『経営活力ビジネスIT活用index』日本経済新聞社)、「経営ができる看護師になろう!」(『日経メディカルAナーシング』日経BP)など。
[URL]
インキュベクス株式会社

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