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中堅・中小企業経営の未来を担う、これからの採用

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役
小笠原 隆夫

第1回今、採用市場で起こっていること

1. はじめに

このところ、多くの企業から「人がいない」「採用ができない」など、人材採用に悩む声を聞くようになりました。重要な経営資源の一つとして位置づけされる人材ですが、優秀な人材、有能な人材、自社に適した人材を確保できるか否かは、少数精鋭の要素が強い中堅・中小企業では、事業を進めていく上でとても大事な事柄です。

このコラムでは、昨今の人材採用を取り巻く状況から、中堅・中小企業における採用の現状をあらためて見直し、これからの取り組み方について考えてみたいと思います。

2. 今の採用環境をあらためて確認してみる

最近の雇用情勢や採用動向に関する報道などを見ていると、新卒の売り手市場による応募者減少や内定辞退の問題、パート・アルバイトの確保が困難で店舗運営に支障をきたしている問題、早期退職者の問題などが取り上げられますが、実際の現場でその厳しさを感じている人も多いのではないかと思います。

ここでは、各種の調査データから、あらためて昨今の採用環境を見ていきたいと思います。

まずはマクロ的な視点で、日本の少子高齢化の状況ですが、総務省の統計によると、我が国の65歳以上の人口は2010年には23.0%でしたが、2060年予測では39.9%と世界でも前例がない少子高齢化が進むと見込まれています。

また、15〜64歳の生産年齢人口は2013年12月時点では7,883万人まで減少しており、今後の予測では2060年には4,418万人まで大幅に減少することが見込まれています。

図1 日本の高齢化の推移と将来推計

また、厚生労働省の資料では、日本の労働力人口(その国における働く意思と能力を持つ人の総数)の推移が示されています。それによると、今から4年後の2020年の労働力人口の総数は6495万人とされており、これはピークだった1998年の6793万人からは298万人の減少になります。

60歳以上の比率は、2000年は920万人で13.6%だったものが、2020年には1234万人で19.0%を占めるようになると予測され、さらに65歳以上に注目すると、2000年の494万人(7.3%)から、2020年には794万人(11.4%)に増加します。多くの企業で定年にあたる65歳以降の人たちが、労働力の一割以上を占めるようになるということで、労働力自体の減少と高齢化が、思いのほか速く進んでいくということです。

図2 日本の労働力人口の推移

そして、若年者の動向としての新卒採用状況ですが、リクルートワークス研究所の調査によると、2017年卒の大卒者の求人倍率は1.74倍で、ほぼ前年と同水準になっています。過去の推移を見ると、景気動向をそのまま反映している様子が見られるので、今後を単純に予想するのは難しいところです。

図3 求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移

しかし、同じ調査で従業員規模別の求人倍率をみると、300人未満の企業では年ごとに大きく変動しているのに対して、300人以上の企業では年ごとの変動はほとんどないか、あってもわずかとなっています。さらに300人未満とそれ以上の規模の企業間では非常に大きな差があり、その差が縮まる様子は見られません。

各種調査でも就職希望者の大手志向が強まっていると見られ、今後少子化が進んでいく中では、この中堅・中小企業と大企業の差は、ますます広がっていく可能性があります。

図4 従業員規模別の求人倍率推移

3. 「採用活動」において中堅・中小企業が置かれている環境

ここまで見てきたように、昨今の採用市場では、その競争が激化してきており、特に中堅・中小企業にとっては厳しい環境となっています。また、今後も楽観的な見通しはできません。

少子高齢化などの状況は、すでに言われ続けてきたことであり、もうわかりきったことかもしれませんが、具体的な数値を目の当たりにすると、その厳しさがより一層明確になるのではないでしょうか。

このように、企業の人材採用が厳しさを増す状況を見越して、最近は大手企業でも個人を口説いて一本釣りをするような、中堅・中小企業に近い採用手法を取り入れて始めています。これは中堅・中小企業が大手企業と同じ土俵で、まともに競争しなければならなくなっているということで、そう考えると、自社の採用環境を今より好転させるには、よほどの競争力をつけなければ難しいということになります。

だからこそ、今までと同じやり方や考え方から脱却し、様々なやり方を工夫しなければ、会社の未来はありません。

次回は、もう少し広い意味での人材確保という視点から、最近起こっている課題をいくつか見ていきたいと思います。

プロフィール

小笠原隆夫
[所属・役職]
ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役
[略歴]
IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、 数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、 人事マネージャー職に従事する。
2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を 担当。
2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名〜1000名規模程度まで)を中心に、 豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、 人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の 課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。
パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

2012年3月より「ビジネスインテグレーションパートナーズ株式会社」にパートナーコンサルタントとして参画し、 2013年3月より同社取締役。
2016年4月より「BIP株式会社」に社名変更
[URL]
ユニティ・サポート
BIP株式会社
ブログ:会社と社員を円満につなげる人事の話

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