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中小スーパー向けに競争力のある商品を提供

株式会社グルメン 代表取締役 澤田 幸雄

日配食品の卸売り、物流、小売りを展開するグルメン(東京・港)は、2003年に過剰生産品や余剰商品などを激安で提供するBtoB受発注サイト「なび市・Net」を開設、中小スーパーや個店が地域密着型の個性的な品ぞろえができるよう、大手スーパーの物流網に匹敵する商品提供を行っている。さらに現在は、生産者との連携で生鮮品を提供する生鮮食品版「なび市・Net」にも取り組もうとしている。

物流業を根幹に、卸売、小売業を展開


株式会社グルメン
代表取締役 澤田 幸雄氏
グルメンは、1984年に埼玉県大宮市で生麺の卸売りからスタートし、得意先の中小スーパーの要請に応える形で、豆腐や漬け物、こんにゃくなど要冷蔵の伝統食(和日配食品)を中心に手を広げていった。その後物流事業、小売事業と業態を広げ、2010年3月期の売り上げは約110億円までに成長している。

「当社の事業の根幹は物流事業で、中小スーパー向けの和日配食品メーカーの商品を共同配送することから始めました。現在では、受発注、ピッキング、最適在庫・配車・配送などの作業と管理を含む総合的なロジスティックス業務を中小スーパーから受託して行うサードパーティーロジスティックス(3PL)サービスを展開、関東地方1都8県の物流拠点8カ所を軸に、4トン保冷車450台で、中小スーパーに食品を配送しています」と社長の澤田幸雄氏は語る。

一方、卸売事業は大手食品問屋が苦手とする和日配食品に特化、00年には川崎市北部中央卸売市場に拠点を設け、加工食品のディスカウント市場「グルメン市場(いちば)」を開始した。これはナショナルブランドから特産品に至る生産過剰品や余剰在庫品、賞味期限間近品などを取りそろえて、中小スーパーや個店が特売や催事などで販売する商品を提供するもの。インターネットと電話・ファクスの双方で注文を受ける。

さらに02年、それまでの事業が上流・中流中心で川下分野の情報蓄積がなかったことからスーパー「!mart(アットマート)」による小売事業を始め、現在5店舗を運営している。また、中小スーパーの共同仕入れ・共同配送の仕組みに共同仕入れ債務保証制度を組み合わせた「TKRビジネスサポート」にも取り組んでいる。

グループウエアの利用で商売が早く進む

拠点が増えた1990年代後半、同社では社内で情報共有が十分に行われず、意思疎通がうまくいかないことが大きな問題となった。「物流と卸をやっていても、一つ屋根の下であれば、その場で話ができますから何の問題もありません。小さな会社でも組織が大きくなって拠点が増えてくると、お互いの目が届かなくなりがちです。当社も、拠点が増える中で組織の風通しが悪くなってきました。営業所で大きな損失を出しているのに報告が上がってこない、ある営業所で成功している仕事を別の営業所が知らない、同じ得意先に別々の営業所がそれぞれ配送トラックを出して、ガソリンをムダにしていたなど様々な問題が出てきたのです」(澤田社長)

そこで、同社ではコミュニケーションと情報共有の手段として、グループウエアの導入を決断し、2〜3年をかけて定着させていった。「何しろパソコンさえ使ったことがない社員ばかりでしたから、業務の中にグループウエアが定着するまでが大変でした。私自身何も分からないので、パソコン教室に通ったり人に聞いたりしましたが、社員はお互いプライドもあるし、分からないことがあっても聞いたり、教えたりしません」(澤田社長)

にもかかわらず、社内でグループウエアが広く使われるようになったのは、使ってみたら、仕事が楽になることが社員に分かったことだった。今までなら打ち合わせにいちいち出向いていたのが、重要なときだけ行くようにして後はメールでやり取りすれば済むようになった。データや写真をメールに添付して送ることで、得意先にも喜ばれた。「自分自身が楽になり、お客さんも喜んで、商売が早く進むことが社員に分かったのです。それで社員は自分から進んで、使い方を勉強するようになり、グループウエアが業務の中に浸透していきました」(澤田社長)

紙とファクスが限界に、サイトを構築

同社が2000年に開始したグルメン市場では、当初紙ベースで情報提供や注文を受けていた。毎朝同社の担当者が市場内の荷受人企業を回り、入荷量が多過ぎて余りそうな余剰在庫や、賞味期限が間近に迫った菓子や飲料、和日配品などを確認し、それをパソコンに入力してリストを作る。それをファクスで得意先の中小スーパーや個店に送り、注文を受け、配送する

最初の頃の取扱商品数は70点程度で、取引先に送るファクスの枚数も少なかった。ところが、しばらくすると商品は700点ほどに膨れ上がった。そうすると、卸値や在庫数は日々変化するので、顧客には毎日20枚ぐらいになるファクスを全部送らなければならない。その結果、事業開始段階では社員2人とパート2人、ファクス機2台の態勢だったが、顧客から注文の返信が大量に寄せられるようになって、対応できなくなり、2年後には、パート6人とファクス機6台で注文を受けるようになった。

しかし、その頃になると、今度は利益が出なくなり、顧客からは苦情も来るようになった。例えば、「自分のところで欲しいのは700品目の内、5品だけなので、毎回送ってくる必要はない」あるいは「朝9時に返信しようとしても、回線がふさがっていてなかなか送信できず、順番が遅くなって商品が売り切れてしまっていて、話にならない」などである。

こうした状況を見た澤田社長は、「これはもうIT(情報技術)を利用するしかないと考えました。ちょうど、当時はインターネットの利用やネットショッピングが一般化しつつある時期だったので、ヤフーや楽天のようなショッピングサイトを作り、注文を受けるようにしようと考えたのです」。

中小スーパーや個店でも簡単注文、確実配送

こうして03年にスタートさせたのが会員制のBtoB受発注サイト「なび市・Net」である(図)。なび市・Netでは中小スーパーでも大手スーパーと同じような条件で特売品や催事用の商品を仕入れられるように、提供商品も大手流通業の発注システムから生まれる余剰品などの定番商品も含めて、大手スーパーと同等の卸値で提供している。インターネットを利用することで最新の商品情報を提供し、中小スーパーや個店が、誰でもどこでも正確に、低廉なコストで発注できるようにしている。注文商品は毎日、450台の保冷トラックが1店舗からでも、指定時間に配送する。

「当初、ウェブサイトは受発注だけできればよいというところからスタートしました。しかし、この8年の間に大きく進化し、現在では販売したい人が自分で商品をサイトに登録したり、注文すれば在庫数が直ちに減り、売り切れたら、すぐに分かるようになっています。そして、インターネットとウェブサイトの特性を最大限に生かした自由で、オープンな仕組みによって、販売者とバイヤー双方のメリットの最大化が実現しています」(澤田社長)

現在、なび市・Netサイトは9時から13時までの間に注文を受け、夕方には商品を配送する「朝市」、16時から24時までの間に注文を受け、翌朝には商品を店頭に並べられる「夕市」、朝9時までに配送し、開店と同時に店頭に陳列できる「電光石火」を基本にして、様々な仕組みが作られている。提供される商品は通常で2千品目程度、ナショナルブランドの商品は日替わりで、在庫数も限りがあるため、早い者勝ちだが、納豆や漬け物などはメーカーの協力を得て、毎日確保し、「定番」コーナーを開設している。また、創業祭や決算セールなどの催事に向けての商品の予約も可能で、店頭からも携帯電話で商品の注文ができるように、モバイル版も運用している。

生鮮版「なび市・Net」で農商工連携を目指す

さらに同社では、10年には宮崎県の農家と提携し、ICタグを使って、出荷される農産物一つ一つについて、生産者情報や栽培情報、そしてレシピ情報などを消費者がスーパーの店頭で見ることができるようにする取り組みを開始した。その上で今年は、なび市・Netの良さを生鮮の分野に拡大した生鮮版「なび市・Net」をスタートさせた。ここではICタグを活用して、野菜など生鮮品の生産者情報や栽培記録をICタグに蓄積するとともに、同社が開発した特殊塩「GNN」を使って、うまみ成分を残したまま生鮮品を冷凍加工し、中小スーパーの要求に応える形で、生鮮品を提供していく。こうした形で、グルメンは中小スーパーと生産者の連携を図る「農商工連携」によって、大手スーパーに対抗できる商材の提供を生鮮品の分野にも広げていく計画だ。

会社概要

社名 株式会社グルメン
本社 東京都港区東新橋2-16-1
代表者 代表取締役 澤田 幸雄
URL http://www.gurumen.jp/

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