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各会計を連携 キャッシュフロー経営強化

東海物産株式会社 代表取締役 池田 隆一

業務用調味料の製造販売を行う東海物産(東京・千代田)は、売り上げの伸びが期待できない環境下での増益を実現するため、キャッシュフロー経営に取り組んでいる。同社はIT(情報技術)の効果的な活用によって経営基盤を強化するために、食品業界向け統合基幹業務システム(ERP)パッケージと処方管理システムを組み合わせた新システムを導入、販売管理・生産管理・処方管理・財務会計を連携させ、業務の効率化と顧客満足度の向上を実現している。

「安心在庫」削減し、スリムで筋肉質に


東海物産株式会社
代表取締役 池田 隆一氏
東京都千代田区に本社を置く東海物産は業務用調味料の製造販売を行っている企業である。1954年創業の同社は、蓄積した調味や製造技術のノウハウを生かし、「調味料探究会社」という企業スローガンの下に味造りを探究、インスタントラーメンなど様々な加工食品を作る食品メーカーに調味料を開発・提供している。

デフレ経済が長く続き、右肩上がりの増収増益が望めなくなっている中で、経営者には減収でも増益実現と企業体質強化が求められている。そのためには、会計上の利益追求から、キャッシュフローを重視した経営に変えていく必要がある。そうした観点に立って、同社は7〜8年前から、原料在庫の回転を良くして在庫を少なくし、キャッシュを増やすことを経営課題として認識するようになった。加えて、顧客である食品メーカーが新製品を出す度に配合を変えた専用の調味料を開発・提供するため、取り扱うアイテム数が増え続け、その管理も問題になっていた。

「工場では多品種少量生産をしていますが、顧客企業との間に契約があるわけでもなく、顧客の商品が売れれば注文がたくさん来ますし、売れなければ注文が来なくなって終わりです。いつ注文が来るか分からないため、仮にいつ来ても対応できるように、余分な『安心在庫』を抱えていました。例えば、1カ月の売り上げが3億円だとしても、5億円くらいの在庫を持っていたわけです。その状態は目に見えないお金が寝ていることになります。それを減らして、よりスリムで筋肉質の経営体質にしたいと考えました」と東海物産池田隆一社長は語る。

勇気持って生産止め、キャッシュを残す

池田社長は工場と営業の両面から、社員の意識改革に取り組んだ。調味料は、暑くなって加工食品の売れ行きが落ちる5月ごろから6月ごろまで需要が減る。しかし工場の従業員は「仕事をさぼっていると思われたくない」の一心で、受注量の減少とは関係なく、生産量を減らさずに稼働し続けてしまう。この状況に対して「勇気を持って、生産を止めよう」と、経営陣が先頭に立って工場に出向いて言い続け、生産量を減らす努力をしてきた。「いずれ注文が来るから、先に生産しておこう」という考え方では、仕入れも増えるし製品在庫も積み上がる。しかし生産を止めれば、仕入れを減らせるうえに在庫も増えないので、結果としてキャッシュが残ることになる。

一方、それまでの営業は、顧客である食品メーカーを訪問しているときに、需要の見込みや翌月の必要量など、相手の生産計画にまで立ち入って商談する習慣がなかった。そこで、営業に対しては、「顧客にはうるさがられるかもしれないが、あえて需要見込みを聞け」という指示を出した。調味料の納入がないと食品メーカーの生産が止まってしまうことを考えれば、顧客企業の生産に支障を来さないためにも、東海物産はパートナーとして、需要の見通しを把握する必要がある。そのためにこの働きかけを継続して行ってきた。最近では、大手食品メーカーの一部で調味料の需要見通しをウェブ上で公開するところも増えてきた。このことによって営業サイドの販売計画の精度を上げることができ、安心在庫の無駄解消につなげることができた。

現在、食品メーカーの注文は少量単位で、発注も小刻みになっている。その背景には、食品メーカーが原料在庫をできるだけ抱えずに済むようにするために、必要なときに必要なだけ購入するジャストインタイム方式を導入して、徹底した管理を行っていることがある。

「私たちも、それに対応しながら在庫を減らしているのですが、小刻みな注文にその都度応じて生産していくのは手間がかかり、現場に負担となっているのも現実です」(池田社長)

生産を最適化し、在庫削減、利益確保へ(後編)

会社概要

社名 東海物産株式会社
本社 東京都千代田区岩本町1-10-5
代表者 代表取締役 池田 隆一
URL http://www.tokaibsn.co.jp/

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