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生産を最適化し、在庫削減、利益確保へ

東海物産株式会社 代表取締役 池田 隆一

売り上げの伸びが期待できない環境下でも利益を確保するため、キャッシュフロー経営に取り組む東海物産(東京・千代田)。業務用調味料の製造販売を行う同社は、「安心在庫」を削減しながらも生産計画の精度を上げ、必要なときに必要なだけ生産するためにIT(情報技術)を効果的に活用している。

工場独自の情報システムが、現場の負担に


東海物産株式会社
代表取締役 池田 隆一氏
東海物産では、早くからOA化に取り組み、1993年には、顧客企業からファクスで受けた注文をデータ化してオンラインで工場に送る仕組みを作っていた。さらにOA年には工場に受発注センターを設け、顧客からの注文を直接受けるようにした。これにより、業務や営業が使うデータ、すなわち製品の受発注や在庫、販売管理はひとつのシステム(新基幹システム)で行えるようになり、ワン入力ワンデータが実現した。

しかし、そこでベースとなる考え方は経理と営業などの業務が中心で、生産の観点に立っていなかった。工場では原料の在庫や価格を管理する原料原価システムが独立して開発されており、基幹システムと連携していなかったのだ。そのため、顧客から注文が入ると、工場で原料原価システムに入力し直して、調味料の処方を確認、原料在庫がない場合の発注などを行うなど、現場の負担が増えていった。

「工場では多品種少量生産をしていますが、顧客企業との間に契約があるわけでもなく、顧客の商品が売れれば注文がたくさん来ますし、売れなければ注文が来なくなって終わりです。いつ注文が来るか分からないため、仮にいつ来ても対応できるように、余分な『安心在庫』を抱えていました。例えば、1カ月の売り上げが3億円だとしても、5億円くらいの在庫を持っていたわけです。その状態は目に見えないお金が寝ていることになります。それを減らして、よりスリムで筋肉質の経営体質にしたいと考えました」と東海物産池田隆一社長は語る。

「従来の一般的な生産管理システムは、機会損失をなくすために原材料が減ったら補充するという考え方が中心。1日に商品がたくさん売れる小売業などではそれでもよいのですが、当社の実情に合わないので、今までは導入を見送ってきました。その一方で、工場では原価管理をする必要があるので独自に生産管理システムを開発していました。取り扱いアイテムが増えれば追加していくので、システムの規模もかなり大きくなっていました」(池田社長)

ERPで仕事のやり方を標準に合わせる

そこで同社は、全業務を連携・統合させる新システムの構築を目指してプロジェクトチームを発足させ、食品業界向けの統合基幹業務システム(ERP)パッケージとパッケージ製品の処方管理システムを組み合わせて新システムを構築した。これにより調味料の試作開発から生産・受発注、支払いまでを一貫して行えるようになった。

ベンダーとパッケージの選定に当たっては、外部のITコーディネーターの力をフルに活用した。「私たちのような中小企業では情報システムの専門家はいません。ITコーディネーターに入ってもらい、コンペの際のプレゼンテーションの内容や見積もりの正統性などについての専門的なアドバイスを受け、最終的な決定を行いました」(池田社長)

導入に当たり、基本的にカスタマイズは行わず、パッケージの考え方に仕事のやり方を合わせることにした。導入したパッケージは食品業界向けの製品なので、多くの食品メーカーの仕事のやり方が標準として組み込まれている。それを「世間標準」と位置づけ、そこから外れている独自のやり方は改めることにしたのだ。

「今までのやり方を決めたのは30年も前。それしか知らないので、不都合を感じなかっただけの話です。世間標準にない業務は無駄かもしれないなどの議論から、自分たちの仕事のやり方を客観的に見ることができるようになります。それがパッケージをカスタマイズせずに使うことの大きな目的でした」と、池田社長は、ERPの導入が業務全般を見直す好機になったことを強調する。

業務効率化と顧客満足度向上を実現

こうして新システムは昨年11月から稼働を開始し、全システムが連携、最適化された。工場では、注文が入ればその製品の処方を即座に見ることができるようになった。また、8人で行っていた受発注センターの業務は、4人で行えるようになった。加えて、今まで手計算だった資材の原料所要量展開が自動計算されるようになり、請求書もERPで自動管理できる。資材担当の業務時間も大幅に減った。

さらに、処方管理システムでトレーサビリティー管理が徹底されたことにより、購入した原料の入手先なども本社で、すぐに分かるようになった。これにより、今まで丸1日かかっていた顧客企業への返答が数分のうちに可能になり、顧客満足度の向上と顧客企業の信頼獲得に大きく貢献している。

各会計を連携 キャッシュフロー経営強化(前編)

会社概要

社名 東海物産株式会社
本社 東京都千代田区岩本町1-10-5
代表者 代表取締役 池田 隆一
URL http://www.tokaibsn.co.jp/

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