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コア事業に集中できる経営戦略 BPOを検証する

~業務の可視化・品質向上・最適化をサポートするクラウドサービス導入など~

パネルディスカッション

企業競争力を強化するBPO・クラウドサービスの活用法

パネリスト
日本ユニシス 専務執行役員ICTサービス部門長
角 泰志氏
菱洋インテリジェンス 取締役営業企画部長
岡崎 宏幸氏
コーディネーター
KPMG FASグループ
KPMG BPA マネージングディレクター
村瀨 司氏

クラウドなら10分の1に削減可能 角氏


日本ユニシス 専務執行役員
ICTサービス部門長 角 泰志氏
村瀨私は約20年にわたり、戦略・業務コンサルティングに携わっている。現在は、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、ビジネスパフォーマンスアドバイザリーサービスを提供するKPMG FASグループに所属している。
今回のテーマである「BPO・クラウド」は、欧米から輸入される経営ツールのなかで日本企業では使いにくいという雰囲気を肌で感じている。その問題も含め、最前線で活動される両氏と皆さんの役に立つディ スカッションができればと考える。

私は、日本ユニシスでクラウドサービスの責任者としてICTサービス部門長を務めている。当社は2008年の1月にクラウドビジネスを立ち上げ、同10月からサービスをスタートさせた。
クラウドの特長として、俊敏性や利便性、拡張性、可用性などが挙げられる。巨大なリソースを共有することで、アプリケーションやデバイスの連携しやすい環境がすぐに手に入る。これをどのようにビジネスにマッチさせるかが、使いこなす上で最大のポイントだと考える。
当社クラウドサービスの強みは、グループを結集してインフラの構築から運用サービス、アプリケーションの提供を含め、トータルで事業を展開している点にある。

岡崎菱洋インテリジェンスは、バックオフィス系のBPOのハンドリングサービスを中心としている。私自身は電子帳票システムの開発に携わり、その後は営業部門とシステム部門を行き来し、現職に就いている。主要な顧客である事務部門と総務部門は紙と電子データが混在する環境が多く、こうした環境の全面電子化のお手伝いとしてBPOを提供している。

村瀨BPOやクラウドサービスを使うメリットはどういった点だと考えるか。

一番大きな点はコストの削減であり、顧客のうち約7割がこれに期待を寄せている。個人的には日本企業のITコストはまだまだ相当に高く、極端にいえば10分の1ぐらいに低減できると思っているが、クラウドならそれが実現可能だ。
ただ安いだけではなく、事業のスピードに合わせたITの提供・活用や、ビジネスプロセスの中で俊敏に対応できる点も強調したい。不安を抱く方が多いセキュリティーについても、私は「クラウドのほうがはるかに安全性は高い」と説明している。
また、「止まらない」のがクラウドの本質であるため、可用性を高めるための冗長化などを徹底している。このほかにも「プロによる安全・安心な運用」「省エネ効果」などのメリットも挙げられる。

岡崎BPOでは作業量が事前に見積もれないケースが度々発生する。キャンペーンなどでは一時的に処理量が急増する場合があるからだ。クラウドタイプのサーバーを構築することで処理の急増にも問題なく対応でき、顧客に安定したサービスの提供が可能になる。BPOとクラウドはITリソースを外部に求め、量を自在にコントロールできるという点で発想の原点は同じと考える。

村瀨活用の可能性を端的に示す事例などはあるか。

ある大手リース会社では、ファイル共有で大量に蓄積されたデータをクラウドに移行している。具体的には、当社のファイル共有サービスを活用して、データ処理自体は顧客側で対応している。
また別の大手電機メーカーでは、グローバルに展開する事業所を結ぶメールシステムにクラウドを導入している。サーバーを集中化することで、事業所が所在する国・地域に固有なセキュリティー上の問題点を個別に解決する必要から解放され、運用の効率化を実現している。
このほかにも、人事システムをクラウドに移行して接続回線を専用線化する「プライベートコネクション」を利用することでセキュリティーを確保し、社内のイントラネット環境そのままにクラウドを利用する例などが挙げられる。

移行前コストの正確な把握が重要 岡崎氏


KPMG FASグループ
KPMG BPA マネージングディレクター
村瀨 司氏
岡崎クラウドに移行しても、データの提供は従来の形で継続したいという顧客も多い。請求書の発送業務が代表的な例で、紙データを郵送すると高額な郵便料金が発生する。
そこで当社は、請求先の実情に応じてサマリーだけを郵送し、明細はPDFで送信するといったきめ細かなサービスを提供している。一見手間のかかる処理だが、顧客から提供されるCSV形式のファイルにフラグを立てるだけで後の処理は自動化されるため、状況の変化に対してもスピーディーな対応が可能だ。最終的には電子データ交換(EDI)のようなデジタルでのデータの受け渡しを目標に据えているが、そこに至るまでの過程でアナログ処理にもきちんと対応している。

村瀨数多くの事例により、思った以上にクラウドが活用されていることを皆さんは実感いただけたのではないだろうか。
次に、そうした事例の中から見えてきた今後の課題をお聞きしたい。

岡崎BPOの観点からは、移行前のコストを正確に把握することが重要と考えている。コスト削減は企業の大命題だが、物差しがないと効果測定もあいまいになり、さらなるコスト削減に向けた取り組みがあやふやになってしまう。

継続的にコスト削減するには、オーバースペック部分の発見と最適化にあると考える。当社では、きめ細かなオプションを設定。それぞれ価格を明示し、顧客が必要とするものだけを選べる体系を整えている。
既存事業をクラウドに移行する際は移行計画の立案が重要な課題となるが、新規事業なら当初からのクラウド化も容易だ。実体と契約リソース量がマッチしない場合でも追加や削減が簡単。極端にいえば、ある期間だけ利用するという割り切りも可能だ。

村瀨BPOやクラウドのメリットを理解したうえで自社の業務に合わせて活用すれば、企業の競争力向上に貢献することが今回のパネルディスカッションで明らかになったのではないだろうか。

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日本大学 通信教育部

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