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モバイル端末でクラウド接続へ

~スマートフォン、タブレットPCが巻き起こす知的生産革命を検証する~

パネルディスカッション

スマートフォンの活用と、押さえるべきポイント

パネリスト
CSKサービスウェア 執行役員営業本部長
中島 英也氏
CSK産業事業本部 サービスシステム事業部長
北尾 聡氏
サイボウズ 社長
青野 慶久氏
サイボウズ 副社長兼事業支援本部本部長
山田 理氏
IDC Japan
PC、携帯端末&クライアントソリューショングループ
マネージャー
片山 雅弘氏

スマートフォン、半数が導入したい 片山氏


IDC Japan
PC、携帯端末&クライアントソリューショングループ
片山 雅弘氏
司会東日本大震災では住民基本台帳や病院のカルテが消失するなど、情報の面でも大きな被害を目の当たりにした。今回の震災を機に、新たな情報の活用法、なかでもクラウドコンピューティングを活用した情報の利用方法について真剣に考える必要があると思う。また企業の事業継続計画(BCP)とも関連する在宅勤務・テレワークの普及にはまだまだ課題が多い。こうした観点を念頭に置きながら、まずスマートフォンやモバイルPCの利用実態についてお伺いしたい。

片山昨年1月に実施したユーザーアンケートで「携帯電話のビジネス活用状況」を聞いたところ、携帯と社内のシステムをアクセスさせているのは全体の1割程度だった。今年4月に再び聞いたところ企業のIT管理者の45.9%、約半数がスマートフォンを導入したいと考えた。われわれの見通しでは、2011年に前年比2倍の134万人となるスマートフォンの法人ユーザーが、15年には554万人に増えて法人の携帯電話ユーザーの半数に上ると予測している。

クラウドがデータを自動的に収集 北尾氏


CSK産業事業本部
サービスシステム事業部長
北尾 聡氏
中島「スマート」とは何かを考えてみたい。私見では、それは「ネットワークから様々なアプリケーションソフトを取り込み、様々な機能をバーチャルに実現できる仕組み」だと思う。この「スマート」はまた、雑誌・書籍、ゲーム、カーナビゲーション、テレビといった既存の様々なものを1台に取り込んでしまう機能も持つ。

青野デバイスの多様化は、われわれソフトウエア会社にとってチャンスである半面、大変な時代になったと感じる。お客様が使う画面の大きさなどに応じて、設計が異なるからだ。

司会クラウドと新しい端末を組み合わせると、何ができるようになるだろうか。

北尾従来の企業は「端末に情報を打ち込む」ことで得られる限定的なデータをもとに経営判断してきたが、クラウドなら使う人が意識しなくともデータが自然に集まってくる。例えば営業マンがシステムにアクセスするだけで一日の行動のログを自動的に収集でき、分析して活用することができる。

運用ルールと技術の裏打ち必要 青野氏


サイボウズ 社長
青野 慶久氏
片山社内でもPCをやめてスマートフォンに切り替える企業も出てきた。社内のどこにいても立ち上げが可能で、また会議のときのプロジェクターの代わりにもなる。

山田当社でも運用ルールを定めて積極的に活用し、在宅勤務・テレワークの実現などに生かしている。

中島ただ、お客様の個人情報を扱うコールセンターのようなビジネスの場合、データを自宅に持ち帰るのは実際問題として難しい。

司会ここは極めて重要なポイントだ。例えば社内のノートPCは持ち出し禁止でも、スマートフォンなら持ち出してもいいのかという問題がある。

青野スマートフォンの持ち出しには運用ルールが欠かせない。またセキュリティーに関する技術の裏打ちも必要だ。例えば画面だけ送信してデータそのものは送信しない、端末を紛失した場合にリモートでデータを消す、といった技術がすでにある。

片山日本では個人情報保護法がネックとなり、悪用された場合の補償や賠償といった側面に固執する企業が多い。そのために生産性を上げる手段の1つを失うのは問題だと思う。

北尾情報を端末側に残さずにデータセンター側で管理する「シンクライアント」など、セキュリティーを高める技術への期待が今後ますます高まるのではないか。

片山その際には、やはりクラウドの活用がポイントになる。データセンター側に情報を置けば、BCPの観点からも非常に有効なのではないか。

結果より過程を重視し過ぎ 中島氏


CSKサービスウェア
執行役員営業本部長
中島 英也氏
司会在宅勤務・テレワーク普及の壁としては、セキュリティーの課題以外にも、例えば「会社に顔を出すことが忠誠心の証し」といった企業のカルチャーの問題もある。

中島通信速度の向上がさらに進めばスマートフォンのカメラでテレビ会議も可能。顔が見える、見えないといった問題は技術的に解決できる。より大きく深い問題は、日本ではビジネスの「結果」はもちろんだが、そこに至る「過程」を重視し過ぎる傾向があることではないだろうか。

在宅勤務の生産性は下がらない 山田氏


サイボウズ
副社長兼事業支援本部本部長
山田 理氏
山田経営者が抱く在宅勤務への不安は、経営者が「もし自分が在宅勤務したらサボるだろう」と考えるからでは(笑い)。しかし実際には、在宅勤務をする社員は、ちゃんと働いていることを証明するため成果・アウトプットを一生懸命に出そうとする。だから生産性は下がらない。在宅勤務制度を導入して意外だったのは、管理しないほうが生産性は上がるということ。逆に言うとマネジメントのスキルが一段と問われる時代になっていくと思う。

司会最後にBCPの観点からご意見を。

青野大震災のとき、東京では携帯電話はつながらなかったがインターネット経由での情報のやりとりは比較的スムーズだった。インターネットのインフラ拡充が非常に重要だと感じた。

中島クラウドのデータセンターを経由した情報の受発信ルートをいかに確保するかに、BCPを考える際のポイントがあるのではないだろうか。

片山スマートフォンを外部モデムとして他の端末をつなぐ「テザリング」の活用法も考えていく必要がありそうだ。

北尾コンテンツがこれだけリッチな時代だけに、携帯の回線は今後ますます混み合う。ソフトバンクBBの九州での試みのように、無線LANサービス「Wi-Fi(ワイファイ)」の整備も積極的に進める必要があるのではないか。

中島地上デジタル放送は裏側で様々なデータを送っている。災害時にはそのエリアを使って通信ができるといった仕組みづくりも検討課題ではないだろうか。

司会本日はどうもありがとうございました。

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日本大学 通信教育部

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