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クラウド時代の企業経営とは

~中堅・中小企業のビジネス成功の鍵となる~

基調講演

創発的破壊――日本のパラダイムチェンジ

時代観が重要に お家芸のIT活用を


一橋大学イノベーション研究センター長・教授
米倉 誠一郎 氏
日本の財政赤字は年々増え続け、1000兆円にまで積み上がった。にもかかわらず税収が37兆円しかないのに、赤字国債を42兆円も発行するという。残念ながらわれわれは日本を、借金を借金で返すような国にしてしまった。

昨年、日本は名目GDP(国内総生産)で中国に抜かれたが、問題は総額ではなく、1人当たりのGDPである。日本は1995年に3位だったが、2000年以降急速に順位を下げ昨年は16位だった。つまり、われわれはこの10~20年間、1人当たりの付加価値を全く向上させていない計算になる。これは由々しき事態である。東日本大震災と原発事故はわれわれに様々な問題を突きつけたが、日本はこれを契機にどんな国を目指すのか本気で考えるべきである。

日本は明治期、自らの目指すべき方向性として「脱亜入欧」を掲げた。以来、百数十年それを続けてきたが、いま世界ではその真逆の「脱欧入亜」という流れが起こっている。端境期のいま、時代の流れをいかに正しく読むか、「時代観」が企業経営者にとって非常に重要となる。いまこそ西山弥太郎や井深大、本田宗一郎、堤康次郎をはじめ、時代の流れを鋭く見抜いてきた経営者に学ぶべきだ。

では、いま日本はどんな方向に向かうべきなのか。それは「脱原発・脱炭素社会のリーダーになること」だろう。分権化された都市国家を再構築した上で、これまでの半分以下のエネルギーでこれまで以上に豊かに暮らして、そのノウハウを世界に売ることでまた豊かになる。この道を進む以外に日本の未来はない。日本にはスマートグリッドであれ、スマートシティであれ、そこに必要な技術、製品、ノウハウがすべてそろっている。すぐにでも取り組むべきだ。

そのためにも必要なのが「創発的破壊」である。創発とは複雑系の言葉で、小さな営みが総和となると、相互作用でものすごいパワーを発揮することをいう。これからはカリスマ的リーダーではなく、プロフェッショナルが求められる。われわれ一人ひとりがプロフェッショナルとして昨日より今日、今日より明日と、自らの付加価値を上げる努力を続けていく。それができれば、日本は再び輝きを取り戻す可能性がある。

米国への留学生数が年々減少するなど、若者ひいては日本全体の内向き志向は深刻だ。もっと日本の外へ目を向けなければいけない。日本には通商国家としての道しか残されていない。資源を買って、それに付加価値を付けて世界に売る。その過程で日本のお家芸であるIT( 情報技術)、中でもクラウドコンピューティングが大いに威力を発揮するだろう。

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日本大学 通信教育部

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