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中堅・中小企業のためのIT“喝”用法

~クラウドで創出する競争優位~

基調講演

創発的イノベーションと日本の競争力


一橋大学イノベーション研究センター教授
米倉誠 一郎 氏
今日、日本の経済は大変厳しい状況となっていますが、多くの企業は独自の工夫や努力を行い奮闘していると思います。そんな皆さんにとって大事なのが、知識に投資をして新しいマーケットを取りにいくことです。そのために何が必要か。第1は、イノベーション。イノベーションの父といわれる経済学者シュムペーターは、イノベーションこそ世界を変え、未来に新しい価値を生むと唱えています。しかし、イノベーションは技術革新とは限りません。かつてある米国の大学生が150都市すべてに荷物を翌日届けるには、何機の輸送機があればできるか考え、1カ所の都市にすべての荷物を集約させればよいという仕組み「ハブ&スポーク」を思いつきました。これは技術革新ではありませんが、立派なイノベーションです。小さな思いつきと知恵を動員して新たな価値を生み出す、イノベーションとはそうしたものの組み合わせです。

同じくイノベーションには生産工程の変革も含まれます。すなわち、同じものでも作り方を変えてみること。これは日本人が得意な分野です。10工程を2工程にする、ベルトコンベヤーからセル生産方式にする、今まで売り切りで行ってきたサービスをクラウドで行うなどなど。また、ニューマーケットを開拓することもイノベーションです。さらに、チャネル組織のイノベーションも重要です。例えば、週に3回コンビニに行く学生は全体の6、7割。週に3回本屋に行く人は3割弱となると、若い人向けの本を出版している出版社にとって、本屋は最適チャネルでしょうか。本は本屋で売るものだと思い込まず、最適チャネルがどこにあるかを知ることが組織イノベーションとなるのです。

東日本大震災後の日本がどの方向に向かうか、ほぼ決まったと思います。それは脱原発・脱炭素社会であり、今までの半分のエネルギーで暮らすことができるソリューションを世界に販売していくことではないでしょうか。先ごろ行われた国際会議で「日本の電力消費はマイナス30%まで達成できる」と発言すると、根拠はあるかと指摘を受けました。しかし、ビジョンに根拠はいらない。1960年代に、ケネディ大統領が月に有人飛行させることを宣言し、それに触発された大学生たちが米航空宇宙局(NASA)に駆けつけ、この偉業を達成しました。

今、日本に必要なのはカリスマではなくプロフェッショナルたちです。クラウドを使って生産性を高めた一人ひとりの創発で30%程度の節電は可能であり、大小さまざまなイノベーションが不可能を可能にしていく。しかも、日本で実現されたエネルギー革命の成果はそのまま世界、とくにこれから膨大なエネルギーを必要とする新興国に売ることもできるのです。

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日本大学 通信教育部

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