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MIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア)コンソーシアム

切磋琢磨し世界に通用するベンダー目指す
「日本発のソフトウェアを世界へ」の号令のもと、有力ソフトウェアベンダー79社が集結し、国内ビジネス基盤の強化と海外展開を推進するMIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア)コンソーシアム。4つの委員会を立ち上げ、マーケティングや経営力の強化、世界市場に向けた課題などに取り組んでいる。今年4月に理事長に就任したインフォテリアの平野洋一郎社長が、MIJSの設立目的と理念、今後の展望などを語った。

クラウド化の流れつかむ

──MIJSの発足理由をお聞かせください。

平野:
MIJSコンソーシアム理事長
(インフォテリア代表取締役社長/CEO)
平野 洋一郎氏
ビジネス領域のソフトウエアの大半は外資系企業で占められ、国産ソフトウエアベンダーのシェアは減少する一方です。この現状を打破するべく、国産ベンダー13社が集まり、2006年にMIJSを発足しました。その後「世界に通用するソフトウエアで勝負する」という思いに共感する企業が続々と参加しています。

──国内のソフトウエア業界の現状は。

平野:パッケージからクラウドへと、ソフトウエアのプラットフォームが移行している大きな転換期です。かつてMS-DOSからWindowsに代わり、インターネットが主流になる転換期がありましたが、国産ベンダーは既存環境でのビジネスに固執するあまり出遅れ、その割合が大幅に減少しました。あの時と同じ轍(てつ)を踏まないように、クラウド化という新しい転換期にしっかり取り組んでいかなければなりません。
また、これは世界的な転換期ですから、逆に日本のソフトウエアが世界に入り込むチャンスでもあります。 MIJSでは、企業がノウハウを共有しながら、1社1社がそれぞれグローバルプレイヤーとして、優れたソフトウエアを国内外に知らしめて世界の壁を突破するべく挑戦を続けています。

4つの委員会立ち上げ

──MIJSの現在の活動内容は。

平野:今年度から新たに4つの委員会体制としました。まずベースとなるのは、世界に通用する製品を開発する力をつける「製品技術強化委員会」。エンジニア同士がものづくりや品質管理のノウハウを持ち寄り、切磋琢磨(せっさたくま)できる場です。今年度は海外の開発現場を視察するシリコンバレーツアーも開催しました。
「経営力向上委員会」は、経営力を企業内部から強化します。日本企業は技術力偏重で、すべて自社で行おうとする自前主義が根強くあります。一方、世界的な企業は資本提携や企業買収で優秀な人材や技術を取りこみ、「時間」を買っています。委員会では、資本政策、予算立案、人材育成などの課題に取り組み、上場に関する内々の情報も積極的にシェア。1社では何年もかかるノウハウを得て経営レベルを上げていきます。
そして今年度から「マーケティング委員会」を設置しました。日系企業と外資系との圧倒的な違いはマーケティング力です。良い製品を作っても、的確に伝えられなければ意味がありません。目先の営業支援だけでなく、中長期的な市場戦略やブランディングに必要な施策などのマーケティングスキルも磨きます。
4つ目の「グローバル委員会」は、昨年度までは「海外展開委員会」という名称でした。今年度から勉強会などの国内活動を止め、サンフランシスコ、シンガポール、上海の3拠点で実際の売り上げまでも共有し、海外の現場での活動を主体としています。

──平野社長ご自身も、拠点をシンガポールに移されています。

平野:
初めて行ったシリコンバレーツアー、
現地技術者との交流が刺激に
まだ拠点を移して1ヶ月余りですが、海外に出て初めてわかる、世界市場における日本のソフトウエアや自社の強み、問題点などもあると考えています。やはり経営者自らが一歩踏み出さなければ、会社は一歩踏み出せません。この状況に大いに刺激を受けています。

日本発の強みを生かす

──今後のMIJSの目標をお聞かせください。

平野:グローバルに活躍するソフトウエアベンダーを輩出し、20年までにMIJSが必要なくなる状況にするという明確なマイルストーンを設定しました。来年度以降は、中国、東南アジアに加えて市場として最も大きい北米に重点を置き、活動を加速させていきます。

──最後に意気込みを聞かせてください。

平野:ソフトウエア市場が形成されて50年ほどが経過しました。かつて輸入産業だった自動車や家電業界が50年の時を経て成熟し、日本独自の高品質な製品が世界に高く評価されたように、ソフトウエアの業界もいよいよ日本の強みを生かせる時代に突入したと感じています。
MIJSでは経営者同士が顔を合わせ話し合うことでさまざまな学びを得たり、切磋琢磨できたりする点が大きなメリットです。私たちと同じ志を抱き、日本のソフトウエアベンダーの未来を切り開く企業の参加を、心からお待ちしています。

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2013年インタビュー

日本の有力ソフトウエアベンダーが結集し、国内ビジネス基盤の強化と海外展開を推進するMIJSコンソーシアム。日本のアプリケーションソフトのナショナルブランド確立を目指し、国内ソフトウエア産業全体の底上げを図る。このたび、 MIJSコンソーシアムの監査役であるサイボウズの青野慶久社長とウイングアーク1stの内野弘幸社長が設立目的と理念、今後の展開などを語り合った。

国内ソフトウエア50社が結集

──MIJSコンソーシアムはソフトウエア企業50社以上で構成される団体です。まずは設立目的についてお聞かせください。

内野:国内のソフトウエアベンダーは高い技術力がありますが、世界で戦うには各社の規模が小さいのが現状です。また、特定の領域に特化したベンダーが多く、これまでお客様はサービスのいくつかを組み合わせる必要がありました。

青野:販売やブランディング力が強い欧米企業のアプリケーションがグローバルスタンダードとして認識されていますが、その製品は「動けばいい」と割り切ったものも多く見受けられます。一方、日本製は繊細なものづくりのDNAを生かしたきめ細やかな機能や、人に優しいユーザーインターフェイスが大きな強みです。開発チームが一体となって信頼性と品質の向上に尽力するため、十分世界に通用する品質と使い勝手を持っています。
MIJSの主導によってマーケティング面での強化を図り、日本でトップクラスの製品・サービスを連携させて最強のソリューションとして取りまとめていきたいと考えました。

──加盟団体を見ると、競合にあたる企業が多く加盟しています。


サイボウズ
青野慶久社長
内野:日本の製品群をまとめ上げてナショナルブランドの確立を目指すという理念である以上、競合を排除するという考えはMIJSには一切ありません。各企業の経営者がMIJSの理念に共感した上で加盟しているため、競合を気にせず本音で話し合うことができます。
実際、業務提携や資本提携などの話もコンソーシアム内で頻繁に行われていて、意思決定も早いのが特徴です。06年の設立以降、非常にうまく機能していると実感しています。

青野:設立直後は各ベンダー製品の相互連携を深めたり、標準化を推進したりしてきました。08年にはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス:サース)の対応に取り組み、09年からは海外展開にも本腰を入れています。
重要なテーマについては、興味を持った会社が部会を設置して議論。テーマを毎年増やしながら着実に成果を積み重ねてきました。設立当初は限られたメンバーによる団体でしたが、世界を目指す企業に集まってほしいという思いから現在は多様な企業に加盟していただいています。

内野:今期は「海外展開」「製品技術強化」「プロダクトビジネス推進」の3テーマについて、従来の部会を委員会に変更しました。これまでは理事長がけん引役でしたが、各委員長に権限を委譲し、それぞれの委員会が独立した形でより自由な活動が可能な体制になりました。新興ベンチャーの方々も準会員という形で続々と加盟しており、今後が楽しみです。

各社の知識や情報を共有・活用

──プロダクトに関する研修などでは、各社のシステムの基幹部分を取り扱う機会もあると思います。技術やシステムを公表することに問題はありますか。


ウイングアーク1st
内野弘幸社長
内野:全く問題ありません。各社ごとに技術やシステムについて調査したり試したりするよりも、MIJSでキャッチアップしたものを各社が落とし込んで特徴をもたせるほうが製品開発までのリードタイムも短縮できますし、技術力と開発力を高める上でも非常に有効です。
例えば「製品技術強化」の委員会では、各社の開発プロセスや使用するツールや、取り組んでいるテーマなど、より深い部分の知識やアイデアを共有して、技術強化のスピードを速めています。各社のエンジニアたちは「もっといいものを作りたい」という純粋な思いで情報交換をしています。

青野:得られた情報を基に各社がそれぞれの戦略を立てて展開していくのがMIJSの特色です。
設立以降、IT(情報技術)業界にはリーマンショックなど幾度も大きな波が来ています。しかし様々な情報を共有することで、私自身も経営上の大きな判断材料にすることができました。経営者から生の声を得られる点でも、刺激を受けるという意味でも、非常に貴重な場だと感じています。

新風吹き込む会員の加入に期待

──今後の取り組みについてお話しください。

青野:MIJS全体として、何か一つの目標や課題を掲げることはありません。自主独立する各社がそれぞれの戦略の中で目標を定め、世界を目指していくという形です。
当社は今後、米国に進出する際に、どういうマーケティングを行い、どういうパートナーと組んだかなど、その時に得られた様々な知見をMIJSにフィードバックしていきたいと考えています。クラウドの登場により海外進出時に、現地にオフィスを置く必要がなくなり、進出の敷居がかなり下がりました。
一方で情報が不足していて、海外戦略すら立てられない状況です。当社が得た情報を会員社間で共有することで、さらによいフィードバックを得られることを期待しています。

内野:おっしゃる通りです。ソフトウエア業界をけん引しているのは圧倒的に米国です。米国市場を取らなければ、本当の意味でのグローバルとはいえない。
しかし1社ずつ単独で活動している状態では現在の状況はなかなか変えられません。サイボウズをはじめとしたMIJSメンバーがそこへの突破口を切り開き、情報を共有して学びながら後に続いていきたい。IT業界のメジャーリーガーを輩出しようというのが我々の考えです。

──これからMIJSへの加盟を検討している企業に対してメッセージをお願いします。

青野:MIJSはトップ同士が本音で議論できる数少ない団体だと思います。各社の戦略立案は非常に参考になります。ぜひ私たちのような会員社と情報交換して、日本のソフトウエア産業を活性化していきましょう。

内野:「日本のソフトウエアを世界に展開したい、世界で認められたい」という思いで集まったメンバーが活動しています。皆、高いモチベーションと熱意を持って集っており、ここから次世代の企業が出てくるに違いないと期待を寄せています。MIJSの理念に共感していただける方であれば、企業の大小は問いません。コンソーシアムに新たな風を吹き込んでくれる方々の参加をお待ちしています。

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